医師が教える、はつらつ元気に過ごすための朝の習慣。
文・韮澤恵理 イラストレーション・松元まり子
朝のToDoを変えるだけで、暮らしの質を上げられるかもしれません。
起きたあとはまずシャワー。【×】
起きたらまずシャワーを浴びてリフレッシュ。すっきりし、目も覚めそうで、いい習慣に感じますが、実はまず最初にやりたいのは朝日を浴びることです。
人の体内時計は24.5時間サイクルで、30分のずれは光を浴びることでリセットされるので、屋外に出て朝日を浴びるのが正解。
洗濯物を干す、ウォーキングをするなど、まず屋外に出ると、体が「朝だ」と認識するので、その後にシャワーを浴びるのがベストです。
朝のシャワーはちょっと熱めがおすすめ。交感神経が刺激され、活動モードに切り替わります。
ベッドの中で伸びる。【○】
目が覚めたら、まず、ベッドの中で思いきり伸びをする習慣にしましょう。これだけで、寝ている間にこわばった筋肉をほぐし、血液やリンパの流れをよくする効果があります。
体を動かすことで、交感神経のスイッチが入るので、活動モードになり、気持ちよくベッドを離れることができます。
起きてすぐは体温が低く、筋肉もかたまっているので、激しい運動をするのは負担になります。筋トレやストレッチは、起床後にしっかり水分を補給して、筋肉がほぐれてからにしましょう。
一杯の水を飲む。【○】
起き抜けにコップ1杯の水を飲むことは、体に大きな影響を与えることがわかっています。
一つは寝ている間に失われた水分を補い、血液や体液が濃くなった状態を改善するためです。
もう一つは胃に200ml程度の水分が入ることでその重さで胃が下がり、すぐ下にある結腸を刺激するためです(胃結腸反射)。これで腸が活動を始めるので、すみやかな便通につながり、免疫力を司る腸の働きを高めます。
朝、一気に高まりがちな交感神経の働きをゆるやかにし、朝からイライラするのを抑える効果も。
起きられないと困るのでスヌーズを使う。【×】
繰り返し目覚ましが鳴るスヌーズ機能を使うと、健康を害するという報告があります。
最初のアラームで目が覚め、交感神経にスイッチが入ったのに、再び寝てしまうと副交感神経に逆戻り。またアラームが鳴ると、交感神経と副交感神経が交互に刺激されます。これはうつや慢性病を招くことがわかってきています。
二度寝は休息にならないうえ、目覚めた後の重だるさを増すなど、いいことは一つもありません。
目覚ましは起きたい時間にセットし、一度で起きると決めて、思い切って起きるようにしましょう。
休日いつもの時間に起きる。【○】
日頃睡眠不足だから、週末の寝坊が楽しみという人が多いのですが、これは体内時計をずらしてしまうのでNGです。
休日もいつもどおりの時間に起きて、疲れているなら夜、早めに寝るのが正解。就寝時間を決めている人が多いのですが、起床時間をずらさないほうが大切です。
夜ふかしは体の再生を妨げますが、早寝にデメリットはありません。夜食やダラダラスマホを避けられるので、疲れていたら早寝がおすすめです。
睡眠時間は一定にし、極端な長短をつけないのも疲れにくさのポイントです。理想は7時間睡眠。
朝食はパンとコーヒー。【×】
朝食を食べると、胃腸が働き始め、体が活動モードに切り替わるので朝食は必ず食べましょう。
ただし、トーストとコーヒーでは炭水化物しか摂れません。朝、必ず摂りたいのがたんぱく質。神経伝達物質のセロトニンはトリプトファンという必須アミノ酸から作られます。肉や魚、卵、乳製品、大豆などに多く含まれるので、トーストにはベーコンエッグを添えたり、ヨーグルトや牛乳、カフェオレなどをプラスしましょう。卵かけごはん、納豆ごはんもおすすめ。
セロトニンは夜メラトニンに変わり、良質な睡眠に役立ちます。
今日も1日流されゆくままでいこう。【△】
無計画にダラダラ過ごすと、やるべきことが終わらないのではと考え、朝しっかり一日の予定を確認するといい……と思われがちですが、パンパンに詰まった予定で朝からお疲れモードになってしまう人も少なくありません。
やらなくてはならないことを大雑把に把握し、あとは目の前のことを淡々とこなしていけば、大抵のことは片付くと楽天的に。
「やらなくてはならない」という重圧で、結局手つかずだったり、焦ってムダな作業を繰り返すよりは、今だけを見て前進するほうが心身ともに疲れにくくなります。
『Dr.クロワッサン 免疫力を強くする、疲れない体のつくり方。』(2020年6月26日発行)より。