からだ

楽しみながら脳の機能をアップする5つのワーキングメモリトレーニング。

  • イラストレーション・鈴木衣津子 文・嶌 陽子

メールか? 井戸端会議か?

【実はたくさんの情報を伝えている表情を見ながらのやりとりがおすすめ。】

人とコミュニケーションを取る場合、会って話すのと、電話やメール、SNSでやりとりするのでは、どちらがワーキングメモリを使うのか?

「人は対面で話している時、無意識のうちに相手の表情からかなりの量の情報を読み取って処理しています。顔を見て話すほうが、音声やテキストのみの時より脳活動が活発になるのです」

相手の顔が見えるビデオ電話なら、直接会うのと似た効果が得られる。

「また、1対1の会話よりも大人数での会話のほうが原則的にはワーキングメモリを使うと言えます。大人数での会話のほうが、一度に多くの人の感情や考えを把握する必要があるからです。ただし、あまりに人数が多いと全員の感情を把握するのは無理があるし、自分が発言する頻度も減るので、かえってワーキングメモリを使わなくなることもありえます」

3〜4人で、顔を見ながら会話する。これくらいのコミュニケーションが脳トレには最適と言えそうだ。

電話やメールより対面がよい。一方、絵文字などには顔の表情と似た働きがあるという説も。

散歩中にできること

【運動と脳トレの組み合わせは、ワーキングメモリの活性化に最適。】

運動がワーキングメモリ低下の防止に役立つと言われている。

「これに脳トレを組み合わせるのはおすすめの方法です。脳トレでワーキングメモリを鍛えると同時に、有酸素運動を行うことで、海馬で神経細胞が増えやすくなるのです」

たとえばウォーキングをしながら頭の中で100から7を順に引き、最後までいったら今度は7を足していく。誰かと一緒に歩いているなら、目についた看板の言葉をきっかけにしりとりをしてみる。

「外に出て歩くのが難しい場合は、室内で体操しながらでもいいでしょう」

身体を動かしながら、何かを考え、問題を解決する。簡単にできて、しかも脳を活性化させるのに最適だと聞けば、今日からでも始めない手はない。

ウォーキング中に目についた看板を逆さまに読んでいくというのもおすすめのトレーニング方法だ。
篠原菊紀

お話を伺ったのは

篠原菊紀 さん (しのはら・きくのり)

公立諏訪東京理科大学教授

脳科学者。幼児教育や中高年の脳トレ開発のほか、テレビやラジオでも活躍。著書に『脳科学が教えてくれた 覚えられる忘れない! 記憶術』(すばる舎)など多数。

『クロワッサン』1030号より

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