女性ホルモンが激減する、閉経後のダイエットの心得。
イラストレーション・木下綾乃 文・石飛カノ
月経があるうちはエストロゲンの力を借りて、ダイエットを効率的に進めることができる。でも、問題は早晩やってくる閉経期。
「閉経は早い人では42歳くらい、遅い人では54、55歳くらいの場合もありますが、平均すると49.5歳です。これ以降はホルモンの分泌バランスが大幅に切り替わります」
下のグラフのとおり、閉経後はエストロゲンの分泌が激減して、ほぼフラットの低空飛行に。そのかわり、卵巣の働きを促そうとして下垂体ホルモンの分泌が増加する。
「エストロゲンの量が低下すると、不眠、うつ、倦怠感、気分の落ち込みといった心理的な負の症状をもたらします。また、基礎代謝が低下して、急激な体重の増加や脂質異常症、動脈硬化、高血圧などの病気も誘発されやすくなります」
そもそもエストロゲンは余った脂肪を皮下脂肪として蓄える役割を果たしていたので、閉経前の多くの女性は下腹部や太ももに脂肪がつきやすい“洋ナシ型体形”。ところが、エストロゲンの恩恵が得られなくなると男性のように内臓脂肪が溜まった“リンゴ型体形”に。その結果、生活習慣病のリスクが高まるという話。
「閉経前からダイエットを行っている方は、同じような食事や運動をしても身体に変化が出なくなります。うまく体重のコントロールができなくなって挫折してしまうことも。そんなときは婦人科に相談して薬物療法やホルモン補充療法などを取り入れてみる手もあります」
(1)下垂体ホルモン
閉経後、下垂体からの性腺刺激ホルモン量は閉経前の5倍近くに跳ね上がる。これは機能が落ちた卵巣を必死で働かせようとするため。
(2)卵巣ホルモン
エストロゲンの量は閉経前に比べると約半分に。排卵も月経もないので、ホルモン分泌に周期的なリズムはなく、フラットなまま。
(3) 子宮内膜
子宮内膜を厚くするエストロゲンやプロゲステロンが分泌されないので、子宮の厚みがほとんど変わらない状態がずっと続く。