女性ホルモンがほぼゼロになったあと、大きく変化する女性の体。今から打つべき対策は!?
文・増田美加
閉経後の病気予防には生活習慣の見直しが最重要!
これらの病気を予防するためには、更年期世代がチャンスです。生活習慣、特に運動、食事を少しずつ見直していくことが大切。運動(筋肉をつける)を習慣にしていくことが今後のさまざまな病気予防のために重要。バランスのとれた食事を朝昼晩、特にたんぱく質をしっかり摂る工夫が重要と言われています。
非常に高いレベルの科学的証拠がある、食事と運動習慣の改善ですが、「それは当たり前のことでわかっている!」と思う人も少なくないでしょう。でも、実行できていますか? 運動と食事を見直すことが、更年期以降の注意すべき病気を予防し、リスクを減らすための最重要課題です。日本女性の健康寿命は約74歳。平均寿命は約87歳。約13年は何らかの持病を抱えて過ごす人生になることの多い日本女性。そうならないためには、閉経後の生活習慣を変えることが必要。
更年期は、まさに大きなチャンスの時期。更年期世代は人生100歳まで元気に生きるためにどうしたら良いのかを考える好機です。後半戦の人生のために、更年期の不調に上手に対処していってください。
更年期〜老年期に注意すべき病気
●50代 更年期以降
・更年期障害(ほてり、イライラ、うつ、尿もれなど)
・乳がん
・子宮体がん
・卵巣がん
・大腸がん
●60代 老年期以降
・生活習慣病(動脈硬化、高血圧、肥満、糖尿病など)
・歯周病
・骨粗しょう症
・萎縮性腟炎
・性交痛
・骨盤臓器脱(子宮脱)
・アルツハイマー病
・認知症
・胃腸機能の低下
エストロゲンの減少やバランスの乱れが上のほぼすべての病気に影響を与えます。特に動脈硬化、高血圧、肥満、糖尿病、骨粗しょう症、萎縮性腟炎、骨盤臓器脱、認知症などは顕著です。「女性のための健康・栄養ガイドブック」(一般社団法人女性医学学会)より一部抜粋
こんなときはここに相談プライマリ・ケア(総合診療)
気をつけたいのは、更年期世代に起こるさまざまな不調を「更年期だから」と自己判断で見過ごさないこと。なかには別の病気が隠れていることも。複数の更年期の不調が同時に起こる場合は、更年期障害である可能性が高いので婦人科で相談を。ひとつの不調が継続的に続く場合は、専門の診療科で背後に病気がないことを除外診断してもらうことが大切です。でもどこに相談したらいいか迷う、そんなときはプライマリ・ケア(総合診療)専門医に相談してみるという手も。そこで診察してくれますし、必要であれば専門の診療科を紹介してくれます。全国のプライマリ・ケア専門医はこちらから。https://www.primary-care.or.jp/public/index.html
増田美加(ますだ・みか)さん●医療ジャーナリスト。エビデンスに基づいた健康情報&患者の視点に立った医療情報を執筆、講演。著書に『医者に手抜きされて死なないための患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか。
『クロワッサン』1006号より
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