暮らしに役立つ、知恵がある。

 

広告

【前編】麻木久仁子さんの気づき。二度の病気を経てたどり着いた、健やかな体をつくる薬膳。

闘病を経て食事の大切さを痛感した麻木さんが、出合ったのが薬膳。毎日のことだから、気負わず手軽にという、その極意を教えてもらった。

撮影・黒澤義教 文・石飛カノ スタイリング・中根美和子 ヘア&メイク・山崎照代 撮影協力・AWABEES

健康な人でも病は避けられない。だからこそ日頃の養生は必須。

麻木久仁子(あさぎ・くにこ)さん●タレント。テレビ、ラジオで活躍するほか、ウェブや新聞で書評を担当。脳梗塞、乳がんの経験を経て国際薬膳師の資格を取得。著書に『生命力を足すレシピ』(文響社)など。
麻木久仁子(あさぎ・くにこ)さん●タレント。テレビ、ラジオで活躍するほか、ウェブや新聞で書評を担当。脳梗塞、乳がんの経験を経て国際薬膳師の資格を取得。著書に『生命力を足すレシピ』(文響社)など。

「不足したら補い、過剰なら減らす。 薬膳は究極の相対論です。」

突然、右半身にしびれを感じ、脳梗塞と診断されたのが2010年の暮れ。

「健康診断ではいつもA判定。脳梗塞になるリスクはまったくなかったので自分でも驚きでした。エコノミークラス症候群のように、健康な人が一瞬血液どろどろになる、そんな突発的なことだったらしいんです。命に別状もなく後遺症もなく、大事には至らなかったんですが、健康について考えるきっかけになりました」

そこで人間ドックを受診したところ、今度は乳がんが発覚。幸いにも早期発見だったため検査手術・部分切除手術でがん細胞を取り除くことができた。放射線治療や投薬など、5年間の治療を終えたのが2017年のこと。

「この2度の経験で病気は他人事ではないと痛感しました。どんなに健康な人でも病気になるときはなる。病気のリスクを下げることはできても、完全に予防することはできないんだと」

健康な人でもがんや脳梗塞が避けられないとしたら、日頃から養生することの意味を見失いそうになる。

「そうですよね。でも実際、自分がいろんな治療を受けたり周りで治療を受けている人を見て思ったんです。抗がん剤や放射線、手術、ホルモン治療、そういう治療を受けるにも体力が必要だと。胃腸の調子がよければ抗がん剤治療をしても、なんとかごはんが食べられる。血圧が正常で血管が丈夫なら大きな手術にも耐えられる。足腰がしっかりしていれば、手術をした2〜3日後にはリハビリにとりかかれる。病気と闘うためには日頃から体調を整えておく必要があると思ったんです。変な話、病気になるにも元気じゃなきゃいけないというか(笑)」

【前編】麻木久仁子さんの気づき。二度の病気を経てたどり着いた、健やかな体をつくる薬膳。

「大切なのは持ち前の生命力を 養生によって使い切ること。」

そんな思いに行き着いたとき、巡り合ったのが「薬膳」。目に留まった直後、薬膳の学校へ見学に出かけた。

「それまで東洋医学はスピリチュアルなものという先入観があったんですが、フタを開けてみたら中医学の理論がものすごく面白かったんです。万物は陰陽のバランスで成り立っていて、陰が強いと陽が弱まり、陽が強いと陰が弱まる。人間も生きている限り常にゆらいでいるので、足りないものを補って、多すぎるものは減らしながらバランスを取る。言ってみれば究極の相対論で、これは生き方として面白いと」

○○は食べちゃダメ、というタブーがないことも薬膳に魅了された理由。

「口に入るものはすべて薬というのが薬膳の考え方。その中で年齢や季節、体調に合わせてよりよい食べ物を選ぶ。今の時季なら、体を冷やしてくれる食材や脱水を防いでくれる食材を取り入れるというようにです」

中医学では「先天の精」というもって生まれた生命力と、「後天の精」という養生で後から足せる生命力の2つがあるとされる。

「薬膳という養生で後天の精を上げて、先天の精を無駄遣いせずに使い切ることがすごく大切。ふと気づいたら70歳になり、80歳になり、100歳まで元気に生きていけたら理想的ですね」

夏に積極的に摂りたいのは、こんな食材。

●きゅうり
体を冷やしてくれる夏野菜の代表。利尿作用もあり、体内の余分な水分を排出してむくみを改善する働きも。冷えが気になる人は体を温める働きのある酢、味噌と一緒に摂るとよい。

●とうもろこし
水分の代謝を促してむくみを改善するほか、胃腸の機能を整え、エネルギーの源である「気」をつくる働きも。とうもろこしのひげもお茶にして飲めば、むくみ改善効果が倍増。

●冬瓜
中国では古くから生薬として利用されてきた夏の野菜。体にたまった熱を取り、利尿作用や解毒効果があるとされる。ほとんどが水分で低カロリーであることも特徴。

●スイカ
夏の暑さで体にたまった熱を取り除く。汗を大量にかいて水分を過剰に欲しているときに食べると、喉の渇きをおさめてくれる。イライラの症状の緩和にも効果が。

●ミント
ミントは日本語でいう薄荷。体の熱を冷ますと当時に、体の中に滞っているものを発散させ、気や血の流れを促してくれる。フレッシュな香りにはストレス解消効果もあり。

後編はこちら

カーディガン4万円、ワンピース2万4000円、中に着たスリップワンピース2万4000円(以上コンテンポ/ヤエカ ホーム ストア TEL.03-6277-1371) イヤリング1万3000円、ネックレス5万6000円、リング4万4000円(以上チェリーブラウン TEL.03-3409-9227)

『クロワッサン』1003号より

広告

  1. HOME
  2. からだ
  3. 【前編】麻木久仁子さんの気づき。二度の病気を経てたどり着いた、健やかな体をつくる薬膳。

人気ランキング

  • 最 新
  • 週 間
  • 月 間

注目の記事

編集部のイチオシ!

オススメの連載