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Vol.60 親の介護が終わってから、何もする気が起きないでいます。【40歳からのからだ塾WEB版】

更年期には、エストロゲンの減少というホルモンの変化に、仕事の忙しさや親の介護などが重なることも多く、心の不調が現れることが珍しくありません。そこで今回は、更年期に起こりやすいメンタルの病気に注目してみました。

例えば、夢中で親の介護をしてきたけれど、終わった途端、気力、体力が尽きて、何もする気が起きない……。こんなとき、どう対処したらよいのでしょう。心の病気かどうかの見分け方、受診の目安、回復に必要なこと、予防などについて、心療内科医の伊藤克人さんに聞きました。

文・及川夕子 イラストレーション・小迎裕美子 

大きな仕事や介護をやり遂げた後に
抑うつ状態になる症状

心療内科医の伊藤克人さんによれば、重荷からの解放が、うつ病の引き金になることもあるそうです。大仕事をやり遂げた後や介護生活が終わったときなどに生じるうつ状態は、「荷下ろしうつ病」と呼ばれています。

「介護をしている方々の中には、ストレスを感じている人が非常に多くいます。自分のことなど二の次で、夢中になって親の介護をしているうちに、身体的にも消耗し、くたくたになってしまうことがよく見られますね。また、自分自身がやりたいことが犠牲になり、さらに自分の家族のためにやるべきこともできずに、常に負い目を感じて生活していることもあり、精神的にも消耗してきます。介護保険を利用すればデイサービスなども受けられますが、それでも介護が優先される生活がなくなるわけではありません。いつまで続くのだろうと気分が塞いでくるのは当然のことです」と、伊藤さんは言います。

一方で、心身ともに消耗した状態であっても、やるべきことがあると、なんとかやれてしまうもの。結果、つらい症状が目立たなくなったり、憂うつな気分が、いつの間にか晴れているということが起こるのだそうです。
「よく言われるのは、うつ病らしい生活をするからうつ病になるということです。朝起きて、何もしたくないと寝床にもぐっていれば、気分も憂うつになりますが、そうだ!これをしなければと、億劫でも身を起こして行動すれば、気分が晴れてしまうのです」(伊藤さん)
何か大きな仕事を抱えているようなときには、見た目には動けているけれど、実際には消耗した心身の状態を抱えて生活していることが多いのです。

注意したいのは、そうした大仕事(介護)をしている時は、消耗していることに気づかないか、あるいは無視して頑張って動いていますが、それが必要なくなり、ほっとしたとき。
「急に心身の消耗が重く感じられ、憂うつな気分や無気力感、倦怠感などが現れます。また、うつ病の初期には、眠れない、食欲がない、じんましんが出るなど、体に症状が出てくることもあります」と伊藤さん。
そうした特徴的な症状が2週間以上続くような場合には、「荷下ろしうつ病」の可能性があるため、早めに精神科や心療内科を受診することが大切です。
見分け方のポイントとしては、健康なうつ状態なら、時間をかけなくても回復していくことが多いそう。

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