コーディネーター・青木由香さんが選ぶ体にやさしい台湾の料理。野菜と滋味たっぷりで胃腸も心も安らぐ一皿。
撮影・青木和義 コーディネート・青木由香
台湾在住のコーディネーターとして活躍する青木由香さん。現地の魅力をそれまでにない視点で伝える著書は、多くの新たな台湾ファンを生んだ。
もちろん食の知識も並ではない青木さんに、旅先での食べ疲れを防ぐような、癒やしのメニューを教わった。
「たっぷりの野菜を、台湾らしく食べられるメニューを中心に選びました。実は私自身、お肉があまり得意ではなく、プライベートでは野菜中心の食生活。最近では健康のためにお肉も食べるようにしていますが、そもそも野菜が好きなんです」
中でもおすすめは、えぐみが一切ないキャベツと活き活きとしたいんげん。
「おなじみの野菜と言わず、ぜひ(笑)。違った味わいに驚くと思います」
【東門駅】六品小館(リウピンシアオクアン)
細かな仕事が支える、上質な「家庭料理」。
台湾の野菜料理は火が通ったものが主流。生野菜ならではのフレッシュでシャキシャキとした食感が楽しめる、青木さんにとって貴重な一皿が白菜の和え物。
「とにかく仕事が細かい! 白菜の芯を薄くスライスしてから千切りにし、水にさらして……と下ごしらえが丁寧。口に入れたときのさわやかな噛み心地は格別です」
技が凝らされているのは店の料理全般に言えること。食材を細く薄く切るために毎日丹念に包丁を研いでいる、と店主が話すとおり、ポピュラーなメニューも一段上の仕上がりで食べられる名店だ。
【中山國小駅】林家蔬菜羊肉爐 (リンジャーシューツァイヤンロウルゥ)
常に地元民で賑わう、羊好きのための店。
「ここの羊のスープは一切、雑味がない。お肉は苦手な私ですが、クコの実やショウガが効いた滋養のあるスープが大好き。具はたっぷりの季節野菜です」
透明なスープには羊の風味がしっかりあるのに、臭みはゼロ。その秘密は意外にも煮込まないこと。
「その日処理した羊の骨と肉、野菜や貝の出汁で作る」(店主)というスープは、脂ひとつ浮いていない澄みっぷり。様々な部位が入った羊の肉も、味、食感のバリエーション豊かで羊好きにはたまらないはず。そのままでも、特製の甘辛タレにつけても美味。
【忠孝新生駅】濟南鮮湯包 (ジーナンシェンタンパオ)
隠れた推しメニューは、貝のスープ。
胃に染みわたる滋味。貝の旨味で味わうスープも青木さんの好物。
「台湾ではレストランでも屋台でも見るメジャーな一品です。日本語メニューにアサリと書かれていたりしますが、むしろ小ぶりなハマグリ。さっと煮たてて貝が開き、身がぷくっとしたくらいが食べごろ。胃腸を休めたいときには熱々の貝スープが欠かせません」
このお店の特長は具の冬瓜。滑らかな舌触りがアクセント。青木さんおすすめの台湾キャベツの丸蒸し、店名物の小籠包も具をヘチマでオーダーすれば、体にとことんやさしい食事に。
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