もしかしたらいちばん厄介な“老化のサイン”が、たるみかもしれない。というのも、シミやシワほど明確に自覚できるものではなく、いつのまにかじわじわ現れてくるものだから。しかも、気づいていないのは本人だけという困ったケースも。ときとして顔を大きく見せ、妙な貫禄をもたらし、ふてぶてしい印象を与えてしまうこともある。
私たちの肌が三層構造になっているというのは周知の事実だが、最も外側にある表皮の厚さは、わずか0.2ミリ程度。その奥にある真皮や皮下組織は、クッションの中綿のように、ふっくらとしたハリや弾力、なめらかさをつくっている。紫外線A波や加齢の影響で、真皮が衰えてスカスカになったり、加藤さんの話にもあるように、骨格が瘦せたりすると、表皮は、それに耐えきれず、重力に従って下にごそっとずり落ちてしまうのだ。
一般的に、我々東洋人は、西洋人と比べ、皮下脂肪のボリュームがあるため、その分、表皮に負荷がかかりやすく、たるみやすいといわれている。多くの人が悩みにあげるほうれい線も、口角の脇からできるマリオネットラインや二重あごも、結局は、たるみに基づいたものだといえる。
たるみをケアするなら、まずは深部のコラーゲンやエラスチンを増やし、質を高めるのが一番。ゆるんでいる肌を真皮という大もとから立て直すイメージだ。それと同時に、表皮にもしっかりとしたハリをもたらし、ずり落ちないような状態にする。きゅーっと引き締まり、程よい緊張感をもたらすマスクや、肌をぴたっと包み、引き上げるようにする美容液やクリーム、メイク下地なども役立てたい。