『Ring-a-Bell』(渡辺満里奈)──ナイアガラの輝きに刻まれた、ふたりの深い信頼
高橋芳朗の暮らしのプレイリスト。1996年に大滝詠一さんが「大瀧詠一」名義でプロデュースした渡辺満里奈さんのミニアルバム『Ring-a-Bell』が、ナイアガラ・レコードの設立記念日である3月21日に甦りました。大滝さんというポップスの巨人が残した仕事の本質を、改めて問い直す機会といえるでしょう。
文・高橋芳朗
1996年3月21日、大滝詠一さんが「大瀧詠一」名義でプロデュースした渡辺満里奈さんのミニアルバム『Ring-a-Bell』がリリースされました。軽やかでいて芯のある彼女の歌声が作品の奥行きをさりげなく引き出すこの1枚は、大滝さんの審美眼が凝縮された日本ポップス史の名盤として、長く語り継がれてきました。
それから30年。ナイアガラ・レコードの設立記念日である3月21日、本作は『30th Anniversary Deluxe Edition』として甦りました。最新マスタリングによって解像度を増したサウンドは、オリジナル盤の美質を如実に示しています。
さらに、2曲の未発表音源が日の目を見ました。大貫妙子さんが書き下ろした「高い空遠い街」は、当時の制作陣の水準の高さを物語る一曲です。渡辺さんと大滝さんが寄り添うようにマイクに向かった「冬の星座(Duet with 大滝詠一)」には、カントリー調にアレンジされた唱歌の温もりとともに、ふたりの深い信頼が静かに刻まれています。
ボーナスディスク収録の渡辺さん・大滝さん・トータス松本さんによる「うれしい予感(Niagara Triangle 1996 Mix)」もまた、当時のナイアガラ人脈の豊かさを再確認させてくれます。渡辺さんのデビュー40周年とも重なるこのリリースは、単なる復刻ではありません。大滝さんというポップスの巨人が残した仕事の本質を、改めて問い直す機会といえるでしょう。
『クロワッサン』1166号より
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