個展『ロン・ミュエク』森美術館──私たちとよく似た彫像が投げかける問い
文・青野尚子
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展示室いっぱいに広がる巨大な頭蓋骨や、極端に大きな、あるいは小さな人物像。アーティスト、ロン・ミュエクの作品はあまりのリアルさに畏怖の念さえ感じさせる。
ミュエクは1958年、オーストラリア生まれ。20年以上にわたって映画や広告の仕事を手がけ、1990年代半ばから彫刻の制作を始めた。
彼の作品の多くは実物とサイズが異なるほかは毛穴やしわまでが克明に再現された、本物そっくりの人物像だ。どことなく憂いを帯びた表情のものが多いのも特徴だ。たとえば両手に買い物袋を下げ、胸に赤ん坊を抱いた《買い物中の女》はうつろな目つきでどこかを見ている。子育てに、家計のやりくりに疲れ切っていることを思わせる。《イン・ベッド》の巨大な中年女性はベッドに横たわり、不安そうな目つきでぼんやりと虚空を見つめる。その視線は鑑賞者と交わることはない。日本初公開の初期作品《エンジェル》は翼を持つ男性が椅子に腰掛け、物思いにふけっている。彼の表情もどことなく悲しげだ。
この個展の最大の見どころは100個の頭蓋骨によるインスタレーション《マス》だ。作品タイトルの「マス」という言葉には大量、集団のほかにキリスト教のミサなどさまざまな意味がある。白い巨大な塊は誰もが逃れることのできない運命を暗示する。
人はどこから来て、どこへ行くのか。ミュエクの作品はそんな根源的な問いを投げかける。
『ロン・ミュエク』
森美術館 開催中~9月23日(水・祝)
今回の個展は森美術館とカルティエ現代美術財団の共催。限られた作品数の中、初期の代表作から近作まで11点が展示される。
『クロワッサン』1165号より
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