『波の子どもたち』チョン・スユン 著 斎藤真理子 訳──脱北を試みた十六歳の三人
文字から栄養。ライター・瀧井朝世さんの、よりすぐり読書日記。
文・瀧井朝世
日除けや冷え対策にも便利なシアーカーディガン
コットン100%で軽くて涼しい素材ながら、日差しや冷房の冷えからもしっかり守ってくれるカーディガン。これから暑くなる季節に持っておきたい、心強い1枚です。
脱北者三人、それぞれの物語。彼らは十六歳の少年少女だ。
きょうだいが脱北したため田舎に飛ばされ農民となった父親と、母親と姉兄と貧しい家庭で育ったソルは、何度も脱北を試みては失敗してきた。姉にブローカーを紹介され今度こそはと頼ってみると、花嫁として売り飛ばされてしまう。
父親が役人で裕福な家庭で育ったクァンミンはサッカーが得意で、韓国のサッカー選手に憧れている。彼の母親は秘密裡に人々の脱北に手を貸しており、摘発を逃れて息子を連れて列車で逃げ出す。
ヨルムは聡明な少女で、川を渡って中国側にある朝鮮族の自治州のバーで働いて金を貯め、捕まって監獄に入ってはまた戻ってくることを繰り返してきた。一度脱北したら本人もその家族も厳罰だと思っていたので、これは意外。また、訳者あとがきによると、彼らが辿ったように、まず中国を抜けラオスを経てタイに行くのが、一般的な脱北ルートなのだという。
十六歳の頃、西ベルリンで東から西へ渡ろうとして射殺された十六歳の少女の墓碑を見て衝撃を受け、社会や自由について考えたことを思い出した。きっとこの物語も、十代の読者を大きく揺り動かすと思う。
『クロワッサン』1165号より
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