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【粋な東京街歩き】江戸から変わらない品を探す“日本橋”散策

東京に江戸幕府が開かれたのが約400年前。江戸の面影を残しつつ、いま行っても楽しいエリアへ。今回紹介するのは、260年余り続いた江戸時代から手仕事の数々が引き継がれる日本橋。人々の暮らしを支えた技と味は今もこの地に息づいている。

撮影・幸喜ひかり 文・一寸木芳枝

《岩井つづら店》 つづら

創業は文久年間(1861~1863年)。店を守る4代目当主・岩井良一さんは75歳。今も1日8時間、つづら作りに向き合う
創業は文久年間(1861~1863年)。店を守る4代目当主・岩井良一さんは75歳。今も1日8時間、つづら作りに向き合う

東京唯一の職人が作る一生ものの日用品
江戸の商人が婚礼道具として売り出したのを機に、庶民に広まったというつづら。かつては関東に約250軒もの専門店があったというが、現在ではこの店だけに。竹、和紙、柿渋やカシューナッツの殻由来の漆など、つづらの材料はすべて自然のもの。軽くて丈夫、通気性に優れ、防虫、防カビ効果もあることから、日用品としてもSDGsの視点からも、改めてその良さが見直されている。

A4の書類が収まる「手文庫大」1万6500円。別料金で名入れや紋入れも可。すべて受注生産で商品が届くまでは約3カ月
A4の書類が収まる「手文庫大」1万6500円。別料金で名入れや紋入れも可。すべて受注生産で商品が届くまでは約3カ月
手のひらサイズのつづらは、相談次第では注文可能
手のひらサイズのつづらは、相談次第では注文可能
大きいサイズになると、1日1個までしか作ることが難しいという
大きいサイズになると、1日1個までしか作ることが難しいという
A4の書類が収まる「手文庫大」1万6500円。別料金で名入れや紋入れも可。すべて受注生産で商品が届くまでは約3カ月
手のひらサイズのつづらは、相談次第では注文可能
大きいサイズになると、1日1個までしか作ることが難しいという
中央区日本橋人形町2-10-1  TEL:03-3668-6058 (営)9時30分〜18時 日曜休 東京メトロ日比谷線・都営浅草線「人形町」駅から徒歩3分。ウェブ(https://tsudura.com)からもオーダー可

《神茂(かんも) 本店》 手取りはんぺん

【粋な東京街歩き】江戸から変わらない品を探す“日本橋”散策

江戸の台所、魚河岸から生まれた伝統の味
日本橋が魚河岸として賑わった当時、幕府の輸出品として貴重だった鮫のヒレ。その残りを利用し、蒲鉾の技術で製造されたのが店の看板商品「手取りはんぺん」。原料である青鮫とよし切り鮫の割合を4:6で長年守り続け、熟練の職人によって生み出されるその形は、中央が盛り上がり、ずっしりと重みがあるのが特徴だ。食べればふんわりと軽く、魚の旨みが口に広がり、余韻を残す。

中央区日本橋室町1-11-8  TEL:03-3241-3988 (営)10時~18時(土曜〜17時…
中央区日本橋室町1-11-8  TEL:03-3241-3988 (営)10時~18時(土曜〜17時) 日・祝日休 東京メトロ銀座線・半蔵門線「三越前」駅から徒歩2分。「手取りはんぺん」1枚432円。同じく伝統的な製法で作られる「極上 御蒲鉾」1本3,024円は、贈答品としても人気。おでん種も各種揃う

《日本橋弁松(べんまつ) 総本店》 並六 白飯弁当

【粋な東京街歩き】江戸から変わらない品を探す“日本橋”散策

甘辛で濃ゆい、江戸っ子御用達折詰弁当
今ではめずらしい、木が香る経木の折箱。蓋を開けると中には、めかじき照焼、玉子焼、野菜の甘煮が仕切りに頼ることなく美しく鎮座。江戸っ子たちが好んだであろう甘く濃い味付けで、白米を進ませる。左上の端に慎ましく佇む豆きんとんもデザートとして愛されている一品。歌舞伎の幕間などに、着席のままパッと食べられるサイズと量もちょうどよく、世代を超えて愛されている。

中央区日本橋室町1-10-7  TEL:03-3279-2361 (営)9時30分~15時(土・日・…
中央区日本橋室町1-10-7  TEL:03-3279-2361 (営)9時30分~15時(土・日・祝日~12時30分) 無休 東京メトロ銀座線・半蔵門線「三越前」駅から徒歩2分。「並六 白飯弁当」1,404円。おかずは同じ「赤飯弁当」1,566円も。現存する日本最古の弁当屋。一部デパートでは惣菜のみも販売

《日本橋木屋(きや) 本店》 菜切庖丁(左)出刃庖丁(右)

【粋な東京街歩き】江戸から変わらない品を探す“日本橋”散策

創業当時からの商標が光る和庖丁シリーズ
庖丁に刻まれた「いづつき」の銘は、1805年ごろの江戸の風景を描いた絵巻物「熈代勝覧(きだいしょうらん)」にも見ることができる木屋の商標。現在は庖丁だけで500種以上を揃えるが、魚と野菜が食の中心だった当時からその使い勝手の良さが評判だった出刃庖丁と菜切庖丁は、今も人気商品。厳選した高純度原料を配合した安来鋼(やすきはがね)を職人がひとつひとつ打ち、美しい切れ味で人々の台所を支えている。

中央区日本橋室町2-2-1 コレド室町1F TEL:03-3241-0110 (営)11時〜19時(…
中央区日本橋室町2-2-1 コレド室町1F TEL:03-3241-0110 (営)11時〜19時(土・日・祝日10時30分〜19時) 休日は施設点検日に準じる 東京メトロ銀座線・半蔵門線「三越前」駅から徒歩1分。右・「井筒木 出刃 水牛口 120mm」2万9700円、左・「井筒木 菜切 東型 水牛口 150mm」1万4850円

《榮太樓總本鋪 日本橋本店》 名代金鍔、甘名納糖ほか

【粋な東京街歩き】江戸から変わらない品を探す“日本橋”散策

不変のレシピで今も愛される江戸の生菓子
「梅ぼ志飴」(右上)を筆頭に、江戸時代から製法を受け継ぐ商品が揃う『榮太樓總本鋪』。「せっかちな江戸っ子に食べやすく」と、歯切れの良い餅が特徴の「西河岸(にしがし)大福」(右下)、川柳や流行歌も詠まれた「名代金鍔(なだいきんつば)」(左下)、大角豆は煮ても皮が破れず「腹が切れない=切腹しない」と人気になった「甘名納糖(あまななっとう)」(左上)など、いずれも随所に粋で洒脱な江戸っ子らしいエピソードが残る。

中央区日本橋1-2-5  TEL:03-3271-7785 (営)10時~18時 日・祝日休 東京メ…
中央区日本橋1-2-5  TEL:03-3271-7785 (営)10時~18時 日・祝日休 東京メトロ銀座線・東西線・都営浅草線「日本橋」駅から徒歩2分。右上・「梅ぼ志飴缶入」640円、右下・「西河岸大福」各324円、左上・本店限定「甘名納糖」972円、左下・「名代金鍔」324円。ほかにも本店限定商品あり

せっかく来たなら

【粋な東京街歩き】江戸から変わらない品を探す“日本橋”散策

日本橋のランドマーク 福徳神社 芽吹稲荷へ
源義家、太田道灌、徳川家康などの武将から厚く崇敬され、4度の遷座を経てなお「日本橋のお稲荷様」として親しまれる。最近では御祈祷に「観賞券当選」が加わったことから、演劇や舞台、ライブなど“推し活”に励む人たちが数多く参詣している。

中央区日本橋室町2-4-14  TEL:03-3276-3550 (営)10時〜17時(授与所・御朱印受付) 東京メトロ銀座線・半蔵門線「三越前」駅から徒歩1分

『クロワッサン』1145号より

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