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血流アップで手指のこわばりを解消! 手根管症候群、母指CM関節症、ばね指……一生付き合うかもしれない不調と対策

日本手外科学会専門医の牛尾茂子さんに聞く、更年期による手指の不調と知っておきたいセルフケア。

撮影・幸喜ひかり イラストレーション・中島陽子 ヘア&メイク・伊藤歌苗 構成&文・一寸木芳枝

更年期による手指の不調例

血流アップで手指のこわばりを解消! 手根管症候群、母指CM関節症、ばね指……一生付き合うかもしれない不調と対策

ヘバーデン結節
指の第一関節に痛みや腫れがあらわれ、進行すると変形する。結節とは関節のコブを指す。1本の指だけでなく、複数の指で起こるケースも。

ブシャール結節
指の第二関節に痛みや腫れがあらわれ、進行すると変形する。変形が進むと関節の動きが制限されるため、不便が生じやすい。

手根管症候群
手首で腱鞘炎が起き、手根管を走る正中神経が圧迫されて起こる。親指から薬指がしびれたり、親指のつけ根の筋肉がやせる。

母指CM関節症
親指に力を入れるとつけ根に強い痛みが生じる。スマホの使いすぎや自転車のハンドルを強く握るのも原因に。親指の安静が一番。

ばね指
指の曲げ伸ばしがしづらく、動かそうとするとカクカクと引っかかりを感じる。指のつけ根に痛みや腫れが起こる。朝方に症状が出やすい。

ドケルバン病
手首の親指側に痛みと腫れが発生する。パソコンを長時間使う人やスマホの片手操作に慣れた若い世代にも悩む人が多い腱鞘炎。


更年期と呼ばれる閉経前後の10年間にあらわれる手指の不調には、女性ホルモンが大きく関係している。

広尾レディース 恵比寿本院の牛尾茂子医師によると、
「エストロゲン値が低下すると、手指の関節や腱の周囲にある腱膜が腫れやすくなったり、動かしにくくなり、それに伴って炎症や痛み、しびれなどが起こりやすくなります」

あらわれる不調の代表例が上記に紹介した6つだ。腱鞘炎による痛みと関節の痛みの2パターンがある。腱鞘炎の原因は使い過ぎと思いがちだが、女性ホルモンが低下すると、自覚がなくても突然、症状が出ることも。また、遺伝的な要素も大きい関節の痛みも、症状があらわれる年齢は人によって差があるのが特徴だ。いずれも安静が一番というが、日常生活においては難しい……。

「手を使う限り、不調は常に隣り合わせだということは、知っておいてください。サプリメントの摂取や、注射で痛みを緩和するなど、ある程度進行を緩やかにすることはできます。ひどい場合は外科的な手術で人工関節に替えるなど、選択肢も複数あるので、専門医に相談しましょう」

ちなみに、男性の更年期も広く知られてきたが、実は男性も女性より10年ほど遅れて症状が出てくる。つまり、男女とも長生きすればするほど、手指の不調とは付き合っていかなければならないのだ。

「日々のセルフケアも有効で、手指の血流を良くすることで改善するケースもあります。入浴や手だけの温浴、ホットタオルで包むなども効果的。手を振ったり、こするだけでもじんわり温まりますよ。避けてほしいのは、無理やり伸ばすなど、痛みを伴うこと。症状を悪化させる原因にもなるので、負荷のかからない範囲で行いましょう」

日によって痛みやしびれの度合いも変わる。様子を見ながら、少しずつ行っていくのが正解だ。

  • 牛尾茂子

    広尾レディース 恵比寿本院

    牛尾茂子 さん (うしお・しげこ)

    日本手外科学会専門医

    クリニックでは毎週第1・第4土曜日に完全予約制で、女性のみを対象として、手、指、腕を専門的に診療している。

『クロワッサン』1143号より

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