「思う」ポーズでいつも思う人がいる幸せ。誰かを思う時間も幸せ。【Dr.高尾美穂のカラダとココロの整え方】
豊かな人生って、何でしょうね。誰かから必要とされなくてもいい。それより、あなたには、静かに思う人たちがどれだけいるでしょうか。
撮影・森山祐子 イラストレーション・SHOKO TAKAHASHI 構成&文・越川典子
〈思う〉“いつも思う人がいる幸せ。誰かを思う時間も幸せ。”
私には、思う人がいます。
出会ったのは、岩手県の三ツ石神社。鬼の手形があるというパワースポットです。講演の合間に時間があって、ふと立ち寄ったところ、「高尾先生ですか」と声をかけてくださった女性がいました。一緒にお参りをしたあと、車でいらしたその方のご厚意で同乗させてもらいながら、息子さんは障碍をお持ちだけれど、絵がとても上手だということ。ご自身が卵巣がんの末期であること。たまたま神社を回って、私に出会ったこと。お話ししながら、「あー、生きててよかった〜」と笑顔でおっしゃったその方の顔が、ふっと浮かんでくることがあります。
今どうしていらっしゃるのか。
Zのポーズをとりながら、手のひらの上に、大事に大事にその方をのせています。そして私は、ただ静かに思っているーーとても大切な時間です。
この女性だけではありません。学会や講演先へ、国内外を飛び回って思い出すのは、場所ではなく、私は人の顔なんですね。
短くても、時間と空間を共にしたことで生まれる、お互いを思う気持ちがある。あの人がいるから、今日もちゃんとがんばろうと思う私がいる。あの人に出会えてよかったという思いで満たされることこそ、人生の醍醐味。しみじみ幸せなことと思います。
Zのポーズ
ひざで立ち、足先は近づけ、ひざは肩幅に開きます。手のひらを上にして両腕を伸ばしながら、首、背中、ひざを斜め一直線にします。この時、お腹と背中を意識しましょう。深い呼吸をして8秒。1日1回。
『クロワッサン』1129号より
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