暮らしに役立つ、知恵がある。

 

湘南在住の飛田和緒さんがパパッと作る、素材の味を生かした鎌倉レシピ。

地元の畑で、近隣の海で、とれたての野菜や魚介が豊富に手に入るのが、ここ鎌倉。
そんな食材を使って、簡単ながらとびきりのレシピをご紹介!

撮影・黒川ひろみ 構成&文・中條裕子

湘南在住の飛田和緒さんは、鎌倉で買い出しすることもしょっちゅう。その場で「おいしそう!」と手に取った食材を持ち帰り、それらをどうやって食べようかと台所に立ってから考えるのが楽しい、という。

「最近は何も足さず作る料理が多いかな。食材ひとつあれば、調味料を変えながらいろいろ楽しめるので」

今回も鎌万水産では地物を狙って、レンバイでは目に留まった野菜を農家さんに食べ方を聞きながら購入。

「野菜も魚介も、新鮮なうちに料理するならシンプルに、がいちばん。とりあえず蒸したり煮たりしておけば、アレンジもききます」

元気な野菜と新鮮な魚介を使った10品は、どれも毎日食べて飽きない、しみじみとおいしいものばかり。ぜひ、こちらを参考にしてお試しを!

鎌倉市農協連即売所(レンバイ)

「普段スーパーでは見かけない珍しい品種の野菜やハーブが並ぶのは、こちらならでは。野菜の旬や食べ方などを農家さんに聞けるのも、対面販売のいいところです」。
「普段スーパーでは見かけない珍しい品種の野菜やハーブが並ぶのは、こちらならでは。野菜の旬や食べ方などを農家さんに聞けるのも、対面販売のいいところです」。

神奈川県鎌倉市小町1・13・10 
8時頃〜売り切れ次第終了 1月1〜4日休

鎌万水産(かままんすいさん) 鎌倉駅前店

「これほど魚介の種類が豊富なスーパーはないですね。しらすの釜揚げも東京で買うものと全然違う。時季により地物もいろいろ置かれているし、私もよく覗きます」。
「これほど魚介の種類が豊富なスーパーはないですね。しらすの釜揚げも東京で買うものと全然違う。時季により地物もいろいろ置かれているし、私もよく覗きます」。

神奈川県鎌倉市御成町4・3
TEL.0467・22・2053
営業時間:9時〜19時 無休

持ち帰ってパパッと作って味わうなら、これがいちばん!

\買ったものはコチラ/

鎌万水産で見つけた、鎌倉や湘南、三崎など、近海で獲れた魚介は新鮮で価格もうれしいものが多数。シェフにも人気の鎌倉野菜は珍しい品種のものも。新しい味に挑戦したくなるのもレンバイならでは。
鎌万水産で見つけた、鎌倉や湘南、三崎など、近海で獲れた魚介は新鮮で価格もうれしいものが多数。シェフにも人気の鎌倉野菜は珍しい品種のものも。新しい味に挑戦したくなるのもレンバイならでは。

【 じゃがいも 】

右上から、アンデスレッド、シャドークイーン、デストロイヤー、キタアカリの新じゃが。
右上から、アンデスレッド、シャドークイーン、デストロイヤー、キタアカリの新じゃが。

ひとくちメモ

「塩気のきいたものをさまざま添えれば、それだけでごちそうに。バターや水切りヨーグルトなど乳製品とも好相性です」

 蒸しじゃがいも

湘南在住の飛田和緒さんがパパッと作る、素材の味を生かした鎌倉レシピ。

【作り方】
大小合わせてじゃがいもを好きなだけ、大きなものは20分ほど、小さめなら10分弱くらい皮ごと蒸して、食べやすい大きさに切って皿に盛る。
刻んだアンチョビを混ぜ込み、粗挽き黒こしょう、パセリみじん切り少々をのせたサワークリームを添えて。
ほかに、塩、粒マスタード、オリーブオイル、コチュジャン、実山椒の醤油煮も一緒に。

【 しらす 】

湘南在住の飛田和緒さんがパパッと作る、素材の味を生かした鎌倉レシピ。

ひとくちメモ

相模湾で獲れた湘南しらすの釜揚げを丼に。「まずはそのまま、次はごま油をかけて、最後に卵黄を落として混ぜながら。オリーブオイル、生姜醤油、柚子胡椒などと一緒に味変しながら小さな器で分けて食べても」

しらす丼

湘南在住の飛田和緒さんがパパッと作る、素材の味を生かした鎌倉レシピ。

【作り方】
丼にご飯適量を入れ、海苔1枚をちぎってちらす。その上に釜揚げしらすをたっぷりとのせ、細切りにした大葉1枚を添える。

【 タコ 】

実はタコも鎌倉の名産。地物のタコは頭の部分が入っていることも。
実はタコも鎌倉の名産。地物のタコは頭の部分が入っていることも。

ひとくちメモ

「今回は食感を楽しむカルパッチョにしましたが、頭は特に出汁が出るのでタコ飯もおすすめ。新米ではないお米もとてもおいしく食べられます」

タコのカルパッチョ

湘南在住の飛田和緒さんがパパッと作る、素材の味を生かした鎌倉レシピ。

【作り方】
赤玉ねぎ1/6個(30g)を粗みじん切りにし、酢小さじ1を加えなじませ、塩ふたつまみを合わせ混ぜておく。
タコ120gは断面が広くなるように薄くそぎ切りにし、ペーパーに包んで水気をよく取る。
皿にタコを並べて玉ねぎをのせ、2cm長さに切ったアサツキ3本をちらし、好みの量のケッパー、黒こしょう少々をふり、オリーブオイルをたっぷりかける。

【 とろなす 】

右から〈とろーり旨なす〉、イタリアの伝統品種〈ロッサビアンコ〉。加熱するととろけるような食感となり、〝とろなす〟といわれる。
右から〈とろーり旨なす〉、イタリアの伝統品種〈ロッサビアンコ〉。加熱するととろけるような食感となり、〝とろなす〟といわれる。

ひとくちメモ

「牛ステーキにのせてソース代わりにしたり、アンチョビや生姜醤油と合わせても」

とろなすのバターオイル焼き

湘南在住の飛田和緒さんがパパッと作る、素材の味を生かした鎌倉レシピ。

【作り方】
フライパンにオリーブオイル大さじ2と、つぶしたにんにく1かけを入れて弱火で加熱し、にんにくが香ばしくなったら1cm厚さに切ったとろなす1個を片面10分ほど焼き、返した際に塩をぱらりとふってバター大さじ1をのせ、溶かして絡めながら5分ほど焼く。箸でつまんで柔らかくなっていたら焼きあがり。
なすはフライパンの大きさにより一度に入らない場合には、数回に分けて焼く。

【 真鯛刺身 】

小柴の通称で知られる、横浜市の柴漁港で水揚げされた真鯛。
小柴の通称で知られる、横浜市の柴漁港で水揚げされた真鯛。

ひとくちメモ

「少しずつ残ったお刺身を使ってもいいし、アジなどの青魚でもおいしいですよ。薄切りを漬けにしておいて、生おからで和えるだけで1品できます」

 真鯛刺身のおから和え

湘南在住の飛田和緒さんがパパッと作る、素材の味を生かした鎌倉レシピ。

【作り方】
真鯛のサク100gは薄くそぎ切りにして醤油小さじ1~2、みりん小さじ1を加えて混ぜ合わせ、冷蔵庫で30分ほどなじませる。
しょうがみじん切り少々、長ねぎ3cmの粗みじん切り、アサツキ2本の小口切り、おから大さじ1を加えて混ぜ合わせる。おからは足りないようなら少し足して。

【 空芯菜 】

鎌倉野菜の空芯菜は、味が濃くシャキシャキとした歯応えもしっかり。
鎌倉野菜の空芯菜は、味が濃くシャキシャキとした歯応えもしっかり。

ひとくちメモ

「これはもう炒め物で。ナンプラーを使うとうま味も加わって、シンプルな炒め物でも風味よく食べられます。豚肉などを足すと主菜にも」

 空芯菜炒め

湘南在住の飛田和緒さんがパパッと作る、素材の味を生かした鎌倉レシピ。

【作り方】
空芯菜は4~5cmに切っておく。フライパンに米油小さじ1と1/2、ごま油小さじ1と1/2を熱し、空芯菜の茎の部分を入れて塩ふたつまみ、生姜の薄切り1かけを加えて炒める。
しんなりしたら残りの葉の部分を加えてざっと炒め合わせ、仕上げにナンプラーをまずはひとたらし。
味見して足りないようなら、少しナンプラーを足して味を調整する。

食べ切れないときは、冷蔵庫にあると心強い作り置きに。

【 まぐろ 】

三崎港から直送された、天然めばちまぐろの中とろを漬けに。
三崎港から直送された、天然めばちまぐろの中とろを漬けに。

ひとくちメモ

「刺身をその日に食べ切れないときはすぐ漬けにします。芥子をつけておつまみにしたり、ご飯にのせて丼や、手巻き寿司にも」

 漬けまぐろ

湘南在住の飛田和緒さんがパパッと作る、素材の味を生かした鎌倉レシピ。

【作り方】 
酒大さじ2、みりん大さじ1を煮切ってアルコールを飛ばし、しょうゆ大さじ2を合わせてタレを作り、冷ましておく。
まぐろのサク200gはペーパーで水気をふきとり、7〜8mm幅のそぎ切りにして保存容器に入れる。
タレをまず2/3量くらい加えて15分ほどおき、味見をして足りないようなら残りを入れ、10分ほどおいて味をなじませる。

【 なす 】

定番のなすも鎌倉産は色つやよく、味も濃厚。
定番のなすも鎌倉産は色つやよく、味も濃厚。

ひとくちメモ

「あまり小さいと、とろんとろんになってしまうので、なすは大きめに切るようにして。後から炒めたひき肉や厚揚げ、油揚げなどを足しても」

なすの田舎煮

【作り方】
なす5本(500g)のヘタを取り、縦半分に切ってから横に倒して皮目に斜めに浅い切り込みを入れ、半分に切る。ごま油大さじ2で炒め、油が絡んだら出汁1カップと砂糖大さじ1を加える。沸騰したら醤油大さじ1と1/2を入れて5分ほど煮、鍋で冷ましながら味を含める。

【 豆あじ 】

横須賀の佐島で水揚げされた豆あじ。こちらは12cmほどだが秋頃はもう少し大きいサイズに。
横須賀の佐島で水揚げされた豆あじ。こちらは12cmほどだが秋頃はもう少し大きいサイズに。

ひとくちメモ

「玉ねぎ、長ねぎはたっぷりと。揚げたあじの熱でしんなりし、油を吸っておいしくなります」

 豆あじの南蛮漬

湘南在住の飛田和緒さんがパパッと作る、素材の味を生かした鎌倉レシピ。

【作り方】
豆あじ10尾(200g)は、腹を上にして胸ビレから指を入れ、エラをつまんで引っ張りあげ内臓ごと尾ビレのほうに引く。
三角形にエラと内臓が取れたら、流水などで腹の中まで洗ってペーパーで水気を取る。
ポリ袋に片栗粉と小麦粉適量を混ぜたものを入れ、下処理したあじを入れて粉をまぶし、油で揚げる。まずは170度で3分半、その後180度で1〜2分ほど、カリッと骨まで火を通す。
薄切りにした赤玉ねぎ1/2個(100g)、白い部分を斜め薄切りにした細めの長ねぎ小1本(70g)をしいたバットに揚げたあじをのせて並べ、上から南蛮酢〈酢、出汁各50ml、砂糖大さじ1、醤油小さじ1、塩小さじ½を混ぜて火にかけ、赤唐辛子小口切り1本を加え、粗熱を取る〉をかけて全体に味をなじませる。

【 甘長とうがらし 】

甘とうがらしの一種で、細長いピーマンのような形。万願寺と共に鎌倉で多く作られている。
甘とうがらしの一種で、細長いピーマンのような形。万願寺と共に鎌倉で多く作られている。

ひとくちメモ

「切ると種が出てくるので、ヘタもそのまま丸ごと煮ます。食べる際に好きな大きさに切って」

 甘長とうがらしのおかか煮

湘南在住の飛田和緒さんがパパッと作る、素材の味を生かした鎌倉レシピ。

【作り方】
甘長とうがらし10本ほど(250g)を米油大さじ1で絡めるように炒め、緑が鮮やかになったら出汁50mlを入れて蓋をし、弱めの中火で10分ほど煮る。
とうがらしがくったりしたらポン酢大さじ2、おかか3gを加えて1〜2分煮て火を止め、冷ましながら味を含める。

  • 飛田和緒

    飛田和緒 さん (ひだ・かずお)

    料理家

    旬の素材を生かした、シンプル、かつ作りやすい料理が人気。近著に『ご当地食堂、はじめました』『おいしい朝の記憶』など。

『クロワッサン』1101号より

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