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ぎっくり腰で慌てない、正しい対処法と日頃心がけておくべきこと。

いつもと同じように活動していても、突然の痛みに襲われることも。
ぎっくり腰は体の不調を教えてくれるサイン!と捉え、日頃の生活習慣をきちんと振り返ってみることが大事。
明治国際医療大学鍼灸学部教授の伊藤和憲さんに、対策を教わります。

イラストレーション・小林マキ 構成&文・中條裕子

ぎっくり腰で慌てない、正しい対処法と日頃心がけておくべきこと。

リスクが高まる要因は、筋肉の質と量の低下。

[原因]腰をひねる、物を拾う…… 日常の動作にも注意する。

ぎっくり腰を起こしやすいのは、慌てているときが多いのだという。ふとした日常の動作にも油断は禁物だ。

「置かれた荷物を避けて椅子に座ろうと、ふと腰をひねったりするのも意外と危ない。物を拾うときにも注意が必要です。腰から曲げようとするのではなく、腰を落として股関節を曲げるようにしてください。日頃からボディイメージをしっかり持つことが大切に」

また、インナーマッスルの一つである骨盤底筋が弱っていると、ぎっくり腰を誘発しやすくなる。頻繁に尿漏れがあると連動して起こる可能性が高いので、日頃から鍛えておくと対策に。

[対処法]筋肉を軽くさすって痛みが和らいだら積極的に動かす。

寝違いと同じく、起こしてすぐは温めるより、冷やすことが効果的な場合が多い。ぎっくり腰を起こした筋肉が反対側と比べて熱を持っている、お風呂に入ることで痛みが強くなるといったときには冷やすようにして。

「その後は、まずは痛みのない範囲で動かしながら、筋肉の血流をよくすることから始めてください。原因となる筋肉を軽くストレッチしたり、マッサージも効果的です。その場合には筋肉を揉むというより、さするような感じで軽くほぐす。そうして痛みが和らいだら、積極的に動くように心がけて」

2〜3日しても症状が改善せず、足に痺れがある、力が入らないといった場合には椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症の可能性もあるので、整形外科へ。

【これはNG!】腹筋運動ではなくて鍛えるべきは太もも。

早く解消しようといきなり負荷の高い運動を行うことは避ける。腰痛対策として腹筋運動をとよく言われているが、加齢による筋力低下の場合は、むしろ太ももの前側、大腿四頭筋を鍛えるほうが効果的。

患部が熱を持っている場合には、氷枕などで冷やすようにして。
患部が熱を持っている場合には、氷枕などで冷やすようにして。

日頃から心がけておきたいこと。

●インナーマッスルを鍛える 
腹部の深部にある筋肉(インナーマッスル)を鍛える。膝を立てて仰向けに寝て、息を吐きながらおへそを引き込むようにしてお腹に軽く力を入れる。腰骨の少し上を触り硬くなっているか確認しながら行う。

● 骨盤底筋を鍛える   
椅子に深く腰掛けて、肛門全体を締めて5秒ほどキープ。その後、力を抜いてリラックスする。

● 太ももを鍛える 
椅子に座り、片方の脚の膝下を上げ、反対側の膝の高さで5〜10秒キープ。左右5回くらいを週に数回行う。また、寝たまま膝の裏を床に押し付けるようにするだけでも。どちらも太ももに負荷がかかっていることをしっかりと意識しながら行うとよい。

● ストレスケア  
ストレスが続くと痛みに敏感に。頭頂部にある百会(ひゃくえ)、手の親指と人差し指の骨のラインが交わるあたり、合谷といったツボ押しも効果的。

  • 伊藤和憲 さん ( いとう・かずのり)

    明治国際医療大学鍼灸学部教授

    東洋医学における効果効能の科学的な立証をめざし、セルフケア指導など啓発活動に取り組む。著書に『今日からはじめる養生学』など。

『クロワッサン』1093号より

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