あなたの夏バテタイプはどれ? 自分のタイプを知って朝昼晩に実践したい夏の”養生”。
特に体力が落ちやすい夏は、免疫力を上げていきたいもの。
未病対策に注視する、東洋医学の観点からひもときます。
撮影・黒川ひろみ 構成&文・板倉みきこ
朝昼晩に実践したい、夏の〝養生〟。
“養生”とは、心と体に必要な日々のケアのことで、東洋医学では“気”を補うために推奨されている。
「人それぞれ生活習慣や体質などが異なるので、自分にぴったりな養生を見つけるには、試してみるしかありません。今回は夏バテのタイプに合わせて内容を変えてみたので、自分のタイプをチェックしてから試してみてください」(医師の陣内厚子さん)。
「その日の食べたものや疲れは、日々消化していくことが大事。溜めない体が健康維持の秘訣です」(呼吸ヨガ(R)創始者の平賀きょう子さん)
\知っておきたい、あなたの夏バテタイプ。/
読者世代に多い夏バテのタイプは3種類。チェック項目で一番該当する数が多いのが、自分のタイプ。同数なら、それぞれの養生を試してみて、より自分に合う方法を探そう。
【疲れタイプ】
□ 食欲が湧かない
□ 眠りが浅い
□ 汗をかきすぎてぐったりする
【冷えタイプ】
□ 手足が冷え冷房がつらい
□ 体温調節が難しい
□ 体に痛みやコリがある
【むくみタイプ】
□ 朝、足が冷えてむくんでいる
□ 体がだる重い
□ 頭痛がする
|朝|活動スイッチを入れて、一日をスタートさせる。
●覚めたら寝床で手足を動かしたり、お腹をマッサージ。
朝目覚めた時の心身の状態を観察しながら、手足を動かしたり、全身を伸ばしたりして血流を上げていく。さらに、おへそ周りを円を描くように優しくマッサージ。窓を開け、朝の清々しい空気で部屋と全身を満たして。
●ゆっくり白湯を飲んで胃腸にスイッチを入れる。
アーユルヴェーダでは、古来白湯を消化促進剤として勧めてきたが、近年、白湯を飲むと食道や胃の粘膜を活性化する、ということが科学的に証明されている。白湯にすった生姜を入れると、より消化力をサポートできる。
●出ても出なくても、毎朝とりあえずトイレに入る。
未消化物を残さず排泄するのが健康の基本で、朝には排尿と排便を行うのが理想。ただ個人差があるので、毎朝便が出なくても不健康ではないが、排尿だけでも行って、朝の排尿・排便のリズムを身につけていきたい。
(疲れタイプ)
朝食は水分だけで済まさず、軽めで消化に優しい炭水化物を摂る。
慢性的なエネルギー不足の可能性が。味噌汁かけご飯やおじやなど、消化しやすいエネルギー源を朝食に取り入れて。
(冷えタイプ)
軽いストレッチで全身を伸ばし、朝食にはタンパク質をプラス。
睡眠中に滞りやすい血流をストレッチで改善。朝食には卵や魚、納豆などのタンパク質を取り入れ、燃焼しやすい体づくりを心がける。
(むくみタイプ)
朝からむくんでいたら体を軽く動かす。食事は温かいものを。
朝からむくんでいるのは冷房の利かせすぎが原因かも。体を動かして血流アップさせてから、温かい朝食を食べてむくみを解消する。
|昼|暑熱が最大限になる日中は、頑張りすぎない。
●三食のうち昼食をメインに。ただ、辛すぎるもの、揚げ物は控える。
昼は一日の中で消化力が最も強くなる時間帯。昼食をメインに考えたほうが体の負担を減らせる。ただ、辛すぎる料理や揚げ物は消化力を司るピッタ(火)のエネルギーを増進するので注意。体が重くなるまで食べるのも避けて。
●頭を温めすぎないよう、帽子や日傘は必須。
夏に限らず、熱に弱い頭部分を温めすぎないようにするのがアーユルヴェーダの考え。日差しの強い日中の外出時は、帽子や日傘で頭を熱から守ろう。ホットフラッシュなど、のぼせやすい更年期の対策にもなる。
●仕事のピークは午前中に設定し、外で活動しすぎない。
10時〜14時はピッタのエネルギーが支配する時間帯なので、もともと夏を支配するピッタのエネルギーとの相互作用で倍増し、体力消耗が激しくなる。午前中を活動的に過ごし、午後はトーンダウンしていくのがおすすめ。
(疲れタイプ)
暑い場所での作業のしすぎを防ぎ、疲れたら休息を取る。
無理をせず疲れたらこまめに休息を取って、疲労を溜め込まないこと。できれば横になって休むほうが楽になり、心肺機能が回復する。
(冷えタイプ)
下半身を冷やさない服装を心がけ、できるだけ体を動かす。
冷房で冷えやすい下半身は腹巻きなどでガードし、足首も保温して冷え対策を万全に。座りっぱなしは避け、できるだけ体を動かす。
(むくみタイプ)
無理ない程度に外出したり、運動をしてじんわり汗をかく。
一日中クーラーの利いた部屋にいるのは避け、可能な範囲で外出したり、ウォーキングや筋トレなどでじんわり汗をかく習慣をつける。
|夜|夜は心身を整える時間。しっかり自分を労わって。
●夕方に散歩して、心身をクールダウンさせる。
暑いからといって、全く体を動かさず、汗をかかずに過ごすのも問題。そこで、じんわり軽く汗をかく程度のウォーキングを夕方に取り入れてみよう。運動不足の解消と、汗をかく習慣が身についてむくみの解消につながる。また、日中溜まった心と体のストレスや熱が排出できるので、心身のクールダウンが叶う。
●ほてりが気になる時は鎮静効果のあるミントティーを。
更年期は特に体温調節が難しく、ほてってなかなか眠りにつけないもの。でも冷たいもので冷やそうとするのは逆効果。胃腸に負担をかけ、眠りを浅くしてしまう。おすすめはほてりを鎮めて内臓は冷やさないミントティー。熱いお茶が苦手なら、常温に冷まして飲んでほしい。香りにも鎮静効果がある。
(疲れタイプ)
睡眠時間の確保が最優先課題。長風呂、サウナなどは要注意。
睡眠が一番の疲労解消法。寝室環境なども整え、良質な睡眠時間を確保。長風呂などで汗をかきすぎると疲れが増すので注意。
(冷えタイプ)
湯船に入って体を温め、風呂上がりにストレッチもプラス。
シャワーで済ませず、湯船に入って全身を温めること。冷えがひどい場合は入浴後にストレッチもプラスして、体温を上げる。
(むくみタイプ)
夕食はタンパク質をメインに塩分を控えて翌朝のむくみ予防。
夕食を食べることで全身の血流が促進され、むくみが解消。湯船に浸かってさらに血流を促して。睡眠中冷房で冷やしすぎないこと。
帽子7,920円、枕カバー4,180円(クロワッサンの店 https://croissant-shop.co.jp/) その他スタッフ私物
『クロワッサン』1095号より