お札の有効期限、神棚、お稲荷さん…知っておきたい神社との付き合い方。
イラストレーション・砂川ちさき 文・田村幸子
Q.お札やお守り、有効期限が一年って本当?
お札やお守りに効能期限はありません。ただし、「1年に1回ぐらいは神社にお参りし、お札やお守りを新調してね」という意味で、1年と記載することがあります。
神様はきれい好き。神様の御霊が宿っているので、お札が変色したり、お守りの端が擦り切れたりしたら、新調したほうがいいでしょう。
返納は授かった神社にするのが基本ですが、旅先などでいただいたものは、近所の神社のお札納所へ。大晦日の大祓いや正月明けのどんど焼きで焚き上げてもらうのもいいと思います。
Q.神棚を家に作るといいことがありますか?
神棚を作るのは家の中に神社を作るのと同じこと。毎朝、お参りできるので感謝も伝わるし、願い事が神様に届きやすくなるでしょう。
神棚を作るとき、神道では天照大神が太陽神なので、日が昇る東向きに神棚を設えるのが決まり事です。東に場所がないときは南向きに。お札を飾る場合も、東向きか南向きになるように位置を決めましょう。
また、神様はきれい好きなので、神棚、神札(しんさつ)のまわりはこまめに掃除して清潔に保ちます。お水は毎日替えて、掃除用の布も神様専用にしましょう。
Q.お稲荷さんが、家や職場の近くに複数あります。お参りしたほうがいい?
お稲荷さんは日本に現存する約8万社の神社のうち、もっとも多い神社なのです。なぜならば、稲荷神社は稲穂の神ウカノミタマノ大神様だから。日本人の主食お米の神様なので、日本各地に点在します。
神様にお仕えする神使(しんし)は白狐(びゃっこ)。お稲荷さんに白いキツネが飾られているのは、そういうわけです。
お稲荷さんは実はご神徳が多く万能の神。いろいろな願い事を聞いてくださいます。稲穂は貨幣のルーツなので商売繁盛、ほかに家内安全、『枕草子』にも出てくる縁結びもあります。ぜひ、ご縁のあるお稲荷さんにお参りください。
京都の祇園祭にかかわる神社と所縁(ゆかり)が深い家に生まれた白鳥詩子さんは、物心がついたころからずっと、神社や神様が暮らしの中心にあったそう。
「神社とそこに祀られている神様のことをもっと知っていただきたいのです。なぜ、ここに神社があるのか、その神様はどの神様の子どもで、どんな経験をされてきたのか。『古事記』を読むとわかります」
これらの神様や神社にまつわる“基本”をそっちのけで「どうすれば、ご利益がありますか?」「一生懸命お願いしているのに神様はちっともお願いを叶えてくれない、嫌われてるのかな」と相談されてとまどうことも。
「そもそも神社は、『神様、いつも見守ってくださりありがとうございます』と感謝の気持ちを伝えにいくところ。そのあとで『こんなことを考えています。うまくいきますか?』と問いかける。おみくじを引いて回答や助言をもらうのは、神様との交流であり対話です。
“基本”をよく理解して、どうすれば神様が喜んでくださるかを考えてお参りすると、願いが神様に届きやすく結果的に叶うのが早まるようです」
『クロワッサン』1060号より
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