未来を示す右手で手相を読んでみよう。
撮影・内田紘倫(日笠さん)イラストレーション・飯田 淳 構成と文・堀越和幸
未来を示す右手で手相を読む。
手には基本となる4本の線がある。生命線、頭脳線、感情線、運命線だ。
「体、頭、心を表す3つの線に運命線。この4本は誰にでもあります。運命線は自分の意思が刻んでいきます。薄かったり、2本出ている人もいますが、ない人はいません。それに今回は、太陽線を加えて観ていきましょう。太陽線は人や自分を喜ばせる力の線で〝人気線〟とも呼ばれています」(日笠さん)
手相を観るといっても、難しく構える必要はない。大切なのは手を開いた時のパッと見の印象だ。
「前にも述べましたが線を刻んでいくのは気の流れです。前向き、やる気のある人はいい流れがくっきり、線も濃く先端まできれい。たとえ三股に分かれていてもスッキリ流れます」
逆に気力が足りなかったり迷いがある場合は、先分かれした先端は枝毛状のようになってしまう(下図)。
「そのほかにも線が切れ切れになったり、堂々巡りを繰り返す〝島〟が出てきたり、あるいは主要線の流れを止める障害線が出たりもします」
といった基本情報を頭に入れながら、自分の過去、そして未来を手の中に観ることはできるだろうか?
「生命線と運命線ではどこが何歳?という流年が読み取れます。が、流年は人により微妙にずれますので、今回はイラストのようなおよその歳を表す年齢マップを作りました」
古い曲を懐かしむように昔の自分を辿ってみよう。それに続くあなたの未来は? さらに下に紹介する吉相は宝探しに出かけるような気分で。手は示唆に富んでいる!
基本の線を押さえ、年齢マップで「人生」を読む。
●頭脳線
人差し指と親指の中央あたりから、手のひらを小指側に流れる線。考える力や得意なこと、その人の才能などが探れる線。この線が直線的に伸びている人は現実的なタイプで計算能力の高い人が多い。弧を描いている人は、ロマンチストの傾向。芸術方面の仕事などで能力を発揮できる。
●生命線
頭脳線と同じような位置から、親指の下のふくらみを取り囲むように、手首側に流れていく線。体力や行動力、健康状態、生活環境などによって刻まれる。手首に向かって流れる線は、これまで歩いてきた自分の歴史、あるいはこれから進む道筋といった年表として見ることもできる。
●太陽線
薬指に向かって伸びる線で出発点はさまざま。名前のとおり、光や喜び、輝きを示唆し、人や自分を喜ばせる力が刻んでいく。ない人もいるし、後から出てくる人もいる。あっても高飛車な態度だったり、慢心していたりすると切れ目や乱れが出るので注意。別名、人気線、成功線。
●感情線
小指の下、手のひらの側面から人差し指方向に流れていく線。心の動きや感性、その人の気質の傾向などによって刻まれていく。心が安定していると線の流れも安定。感情線=本音、頭脳線=建て前、生命線=行動、と見ることもでき、自分を俯瞰するように手を眺めるのも興味深い。
●運命線
どこから出発していても、手首側から中指に向かって伸びる全ての線は運命線。複数本出ている人も多い。意思や自己プロデュース力が刻んでいく。まっすぐ伸びている人は独立独歩型。斜めに伸びている人は組織の一員として働くのが得意な人。自分自身の方向づけの力が表れる。
〈 マスカケ相 〉
●頭脳線と感情線が1本につながる特別な相。
左に示した基本形のほかにも頭脳線と感情線が1本につながっている特別な相がある。これをマスカケ相と呼び、生命線と合わせて「て」の字に見えるのが特徴。25%くらいの人に見られるという。「自分の名前で仕事をして成功する人、社会に大きな影響を与える人に現れやすい相です」(日笠さん)。統率力がある反面、主張が強すぎると自己中心的になるきらいも。
〈 線の乱れに注意 〉
●迷いや葛藤はこんな線になって表れる。
気力が足りなかったり迷いがあると、線の乱れとなって表れる。代表的な例が、切れ切れになる線、島、そして枝毛状に先分かれする線だ。「ああ、どうしようとか、考えがすぐ変わったりすると、切れ切れや枝毛状になったりします。島は水溜まり、滞りの象徴です。1つのことにこだわって堂々巡りしやすい人に現れやすく、気楽になると目立たなくなります」
〈 障害線とは何か? その現れ方は? 〉
●主要線の流れを止める横線が出てきたら要注意。
線の乱れはいわゆる障害線と思いきや、日笠さんによればそうではないのだという。「迷いや雑念がなくなれば、線の乱れは自然と消えるはずです。障害線とは横に入る線でそれによって流れが止められる線を指します」。上イラストで見るなら、生命線の流れを止めて薄くしている横線、そして運命線が伸びるのを堰き止めている線、これが障害線だ。
●横線でも障害線でない場合も。そして、障害線の克服法は?
一方、手のひらに現れた横線が全て障害線かといえばさにあらず。「横線が入っても、それを乗り越えて主要線が伸びて入ればそれは切り替え線と呼びます」。この場合の横線は問題なし。では、障害線が入ったらどう克服すべき? 「障害線は成長するための課題です。多くの場合、自分の内にある恐れやこだわりが原因なので、逃げずにそれを見つめてみましょう」
〈 吉相/アスタリスク 〉
●ラッキー到来の星印は、手のどこに現れるかで読む。
複数の縦線、横線が交差して現れる星形のマークはアスタリスクと呼ばれる吉相の印。「一見、珍しい感じもしますが、手のひらをよく見ると、案外その兆しが発見できますよ」。イラストの場合、人差し指下は目標達成、運命線上は仕事の成功、薬指下は社会的な人気、そして月丘(手首の上、小指側のふくらみ)は想像力の高まりを暗示する。ラッキー到来と捉えよう。
〈 吉相を表す「三大十字」とは? 〉
【神秘十字】
●前向きに進むことができて、人にも幸せを与えられる印。
感情線と頭脳線を結ぶバイパスのような線と、中指に向かう運命線が交差してできる十字。考えが安定して前向きに生きようとする人に現れやすい。「三大十字も下に紹介する三大環もお守りのような相。あったらうれしい!という軽い気持ちで探してみてください」。自分の生き方が安定すれば人の役にも立てる。人を喜ばせようとすれば、この線はさらに濃くなる。
【お助け十字】
●献身することを喜べる、スケールの大きな人間に。
生命線と運命線の間に「×」の印で現れる相。「世のため人のため、何かを助けて生きていきたい、という人によく見られる相です」。この線の持ち主はスケールの大きな人が多い。助ける対象は人のみならず、動物であったり、植物であったり、地球であったり……。「職業で言えば、医師、看護師、教師や政治家や宗教家といった方にもよく見られる相です」
【芸術十字】
●美とセンスを生かして、人を喜ばせる仕事につなぐ。
頭脳線から横に伸びる線と薬指に向かう太陽線が交差してできる十字。芸術的なセンスや才能に溢れているという表れ。「その人自身も華やかで、その魅力が人に喜びを与える、という人に出る印です。仕事で言うなら、ファッション業界ですとか、芸術の分野で成功を収めている人が多いでしょう」。この十字が現れたら、モノを生み出すチャンス到来かも。
〈 手に現れる幸せの曲線、「三大環」 〉
【ソロモンの環】
●言葉を持たないものと、豊かな交流が深められる印。
人差し指の付け根にふくらみを取り囲むように現れる2本の曲線。「言葉を持たない人間以外のものとも交流のできるサインです」。たとえばそれは、猫だったり、花だったり、音楽だったり、あるいは月の光だったり……。「孤独の中にも豊かさのある人のイメージです。人は人とだけで生きているわけではないので、幸せを感じ取る能力に長けた人と言えます」
【金星環】
●抜群の想像力で、何かになりきって自己表現。
感情線の上にあり、中指と薬指のスペースに弧を描き現れるサイン。「豊かな想像力の持ち主で、何かになりきれる人に現れる印です」。ダンサーが花や蝶になって踊ったり、役者が役になりきったり、小説家が物語にどっぷり浸かったり。「なりきることで、自分の中から湧き上がるものを表現する力。芸術家に多いです」。感性の相なので、恋をしても出やすいとも。
【直感線】
●自然と湧き上がるひらめきを、そのまま形にできる人。
小指の下のふくらみを囲むように縦に現れる曲線。その名のとおり、直感力が鋭い人に現れる。「思考以外のひらめきで何かを生んだり、的確な答えの出せる人ですね。たとえば、散歩の時、瞑想の時、パッと現れたものを自然にすくって形にできてしまう人。心の自由を感じられる人が多く、悠々とした印象です」。理論派には現れにくい相。
最後に日笠さんより、まとめの言葉を。
いかがでしたか? 自分の手と上手に向き合えましたか? 手相を占いと捉えてもよいのですが、そこに表れるのは神秘ではなく当たり前の法則です。なぜなら、特別な知識がなくとも、自分の手を改めてじっと観察すること自体がすでに自分を労っていることだと思うから。
手相は変わります。その変わるというのが手相の励みであり救いです。どうぞ皆さん、手を味方につけてよりよい日々を。
『クロワッサン』1060号より