生物学者、福岡伸一さんが、忘れられない音楽とその思い出。
ある曲を聴くと、一瞬でその時代に戻れる。音楽にはそんな力があります。音楽を愛する福岡伸一さんに、大切な歌とその思い出を聞きました。
●「ウルトラQ」のテーマ 宮内國郎・作曲
●「ゴジラ」のテーマ 伊福部 昭・作曲
●「世界の国からこんにちは」大阪万博テーマソング 作詞・島田陽子、作曲・中村八大、歌・三波春夫、坂本 九ほか
「ウルトラQ」のテーマ曲には、不気味なサスペンスが含まれていたし、「ゴジラ」のテーマ曲はミニマルな繰り返しの中に、科学万能主義に対する批評が含まれていた。
私たち昭和の少年は、そんな時代の不安を漠然と感じながら’70年代を迎えた。1970年に大阪万博が華々しく開催されると、国民的な祝祭ムードの中、私たちはあっさり不安を忘れ、明るい未来を夢見た。
万博のテーマは「人類の進歩と調和」。そこから50年後の今、私たちは停滞と分断の中にある。
東京オリンピックの再来と同様、2025年には、大阪万博がもう一度開催される。図らずも私はそのプロデューサーのひとりに選任された。果たしてどのような生命哲学を提示すべきなのか、思案中である。
「ウルトラQ」のテーマは、『ウルトラQ ウルトラマン 怪獣ブースカ 宮内国郎の世界』に収録。
「ゴジラ」のテーマは、『BEST of Godzilla』に収録。
「世界の国からこんにちは」タワーレコード限定ep。1964年の東京五輪音頭も収録。
『クロワッサン』1054号より