くらし

快適なコミュニケーションのために、「雑談力」を鍛える12のヒント。

表現の常識も日々変わる昨今。軽やかで心地よい交流ができるよう、雑談力をアップデートする方法とは。
  • イラストレーション・大山奈歩 文・板倉みきこ

雑談力は、相手に楽しんでもらおうというサービス精神。ただ、その気持ちがあってもうまくできない人もいる。

「『会話が続かない』 『話をするのがしんどい』と悩む人は、その場を一人で何とかしようとしすぎて、会話自体のハードルを高くしているのだと思います。
自分、そして相手がいてコミュニケーションは成り立つもので、独演会ではありません。会話を続けるにも、盛り上げるにも、相手の力を借りればいいんです。
雑談はお互いが心地よくなるための手段で、大切なのは会話の内容ではなく『一緒に』という姿勢。構えすぎず会話を楽しんでみては」(DJ、ナレーター・秀島史香さん)

普段の会話のほぼすべてに雑談を混じえている、というのがライフオーガナイザーの高原真由美さん。

「私にとっての雑談は、話の脱線や余談ではなく、お互いの理解や親密度を深めるもの。話の本題として伝えたいこと、聞きたいことがあっても、そこだけ話していては、人と深く〝繋がる〟ことはできないと考えています」

リモートワークが進んだ最近、雑談の余地がなくなったことを懸念する。

「すぐ本題に入る、雑談抜きの会話が増え、心のゆとりや、新たなアイデアが生まれにくくなった気がします。新しい生活様式の中で、雑談の持つ力を発揮できる方法を模索しています」

\ ヒント1 / 雑談は 「思いやり」 である。

雑談は人の心の扉を開くためにとても効果的な手段、と高原さん。

「初対面の人とは特に、沈黙は恐怖。会話上手に見える欧米の人々も、実は沈黙が怖いからフランクに打ち解け合おうとするのだといいます。気軽に雑談できればどんな場も楽しく、臆さず過ごせます」

雑談することで相手の心も和み、さらに話しやすい雰囲気が作れる。

「相手への興味を示し、寄り添う気持ちも表せる、雑談のベースには思いやりがあります。お互いの言いたいことだけを伝える子どもの関係性とは違う、大人のコミュニケーション手段です」(秀島さん)

\ ヒント2 / 鉄板ネタを3つ作っておく。

「会話が苦手な人ほど準備は大事。誰もが共感しやすいお天気の話など、すぐ使えそうな話をいくつか用意しておきましょう。季節の『あるある話』を準備しておけば『話題が見つからない!』と焦ることもなくなります」(秀島さん)

鉄板ネタを3つ用意すれば、どんな場でも何とかなる、と高原さん。

「例えば、自分が好きなもののランキング。好きな理由も一緒に考えてみると雑談力がつきます。また国民性や県民性など、地域の特色が出る話も広がりが出るのでおすすめ。どのネタに興味を持つか、相手の反応を見ながら話し、使い分けてみるといいでしょう」

\ ヒント3 /「あなたはどう?」で 乗り切る。

高原さんが海外でのレセプションに参加した際、語学力が追いつかず、間が持たないときに編み出したのが「How about you?」と質問で切り返す方法。

「英語の相槌のバリエーションをたくさん用意しておき、相手の話に一言二言反応してから、あなたはどうですか? と聞き返します。するとスムーズに話が展開するので、今では英会話上手と言われるように(笑)。自分から話すのが苦手な人は雑談を膨らませるテクニックとして取り入れてみて」

\ ヒント4 / 迷いは無駄。登山者方式で。

会話が苦手だと、挨拶をすることすら迷う人もいるが「目が合ったら即、挨拶!」と、決めておくほうがストレスが減る、と秀島さん。

「登山では人と通り過ぎるとき、必ず挨拶をしますよね。あのイメージです。知り合いでも初対面の人とでも、同じ空間で沈黙しているのは、互いに居心地が悪いもの。話そうかどうかためらう時間が長いほど、きっかけを掴むのが難しくなります。条件反射のように自分から会話の口火を切っていけば、迷いが格段に減りますよ」

\ ヒント5 /「聞く」のも大きな雑談力。

雑談力がある人と、単なるおしゃべりな人には根本的な違いがある。
「おしゃべりなだけの人は視点が内向きで、喋ることに集中しがちです。人は本来、自分の話を聞いてほしいもの。相手の話を聞き、広げ、その場を盛り上げるための話ができることが、本当の雑談力といえるのでは」(高原さん)

関係性を深めるための場では、話す内容そのものより、どう話を盛り上げるかに関心を向ければいい。

「話し下手なら、むしろ聞き役に徹しても。相手が気持ちよく話せるような相槌、〝反応力〟を発揮すればいいんです」(秀島さん)

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