筋トレ・ストレッチをしないと、 かえって疲れやすくなります。
体を動かす習慣によって疲れない体を手に入れて。
撮影・岩本慶三 モデル・くらさわかずえ スタイリング・高島聖子 ヘアメイク・村田真弓 文・吉田真緒
普段着でできる筋トレを習慣に。
体力があれば疲れにくく、疲れてもすぐに回復します。つまり、疲れやすいかどうかは、体力があるかどうかにかかっているのです。
体力は20代をピークに加齢とともに落ちていくものです。いつまでも体力を維持、あるいは向上させるためには、普段の生活に筋トレをプラスし、衰えやすい部分を中心に鍛えていきましょう。ただし、つらいトレーニングは、続けるのがむずかしいもの。
ウォーキングも筋力アップや持久力の向上に役立ちます。ただし、同じペースで歩くだけでは、1時間以上ウォーキングしてもたいした効果はありません。ややきついと感じるくらいのスピードで筋肉を使うウォーキングと、普通のウォーキングを交互に行うメリハリ歩きが筋力をつけるのに役立ちます。これならこま切れでも筋肉を鍛えることができます。
寝る前のゆるゆるストレッチで疲労回復。
筋トレやウォーキングと同様に大切なのが、ストレッチです。普段の生活ではどうしても収縮したままの筋肉や、硬くなりやすい関節をほぐすことで、全身の血流がよくなります。すると、体内で滞っていたリンパ液や血液が流れるため、早い疲労の回復が期待できます。
さらに寝る前にゆるいストレッチを行うと、睡眠中に成長ホルモンによる細胞の再生が活発になります。新陳代謝が促進されるので、疲れを翌日まで引きずらず、すっきりと目覚めることができます。また、ストレッチをゆったりと行うと、心身をリラックス状態に導く自律神経・副交感神経が優位になります。ベッドの上で行ってそのまま眠ってしまいましょう。
ストレッチは関節の動く範囲が広がるので、筋トレとともに続けると、体をバランスよく動かせるようになります。姿勢もよくなり、長時間同じ姿勢でいても疲れにくい、しなやかな体が手に入ります。
【加齢で筋肉量が減るサルコペニアを知っていますか?】
加齢や病気などが原因で筋肉の量が減り、筋力と身体機能が低下することをサルコペニアといいます。サルコペニアになると、疲れやすくなり、つい家に閉じこもりがちに。するとますます筋肉が減るという悪循環に陥り、要介護の原因になることも。転倒や骨折のリスクも高まります。
サルコペニアかどうかを簡単に調べる方法があります。両腕を交差して胸に当て、椅子から5回立ち上がりましょう。12秒以内にできなければ、サルコペニアの疑いが。両手の親指と人差し指を輪っかにしてふくらはぎのサイズを測ったときに、隙間ができる人も要注意。健康寿命を延ばすために、筋トレで筋肉量を維持し、サルコペニアを予防しましょう!
疲れないために筋肉をつけたいところ、柔軟性を保ちたいところ。
疲れない体をつくるには、筋トレでしっかり筋肉をつけることとストレッチで柔軟性を保つことが大切。特に下記の部分にアプローチします。
(1)つけたい筋肉【背筋】
正しい姿勢を保つために必要な筋肉。重いものを持ち上げるなど、腕を動かすときにも使う。鍛えると姿勢がよくなり、はつらつとした印象に。肩こりや背中の痛みの改善も期待できる。
(2)柔軟性を保ちたいところ【背面】
背中から腰、お尻、太ももにかけての背面は、放っておくとすぐにこわばり、倦怠感や疲れを感じやすいところ。こまめにストレッチをして柔軟性を保つことで、いきいきとした体を保てる。猫背の改善にも。
(3)柔軟性を保ちたいところ【ひざ裏】
ストレッチの際に見落とされがちなひざ裏。ここがしっかりのびていると、ひざの動きがスムーズになり、歩きやすくなる。歩幅も広がり、より多くの筋肉を使えるように。足腰が強くなり持久力がつく。
(4)つけたい筋肉【太もも】
歩行や日常動作に欠かせない太ももの筋肉。大きい筋肉なので、鍛えると基礎代謝が上がり、全身が活性化。体重をうまく支えられるようになると、さまざまな姿勢がとれ、転びそうになっても踏みとどまれる。
(5)柔軟性を保ちたいところ【股関節】
骨盤と太ももの骨のつなぎ目である股関節は、運動不足だと可動域が狭くなる。すると、ひざや足首に負担がかかり疲労の原因に。骨盤周辺の筋肉をほぐして可動域を広げると、血液やリンパの流れも促進される。
(6)つけたい筋肉【腹筋】
体の中心を支える筋肉。衰えると腰に負担がかかり、腰痛の原因にも。鍛えることで姿勢がよくなり、長時間同じ姿勢でいても疲れにくくなる。
『Dr.クロワッサン 免疫力を強くする、疲れない体のつくり方。』(2020年6月26日発行)より。