日記に前向きになれる言葉を綴る。吉本ばななさんの運を呼び込む習慣。
撮影・黒川ひろみ 文・三浦天紗子
「日記に前向きになれる言葉を綴ること、夜寝る前のストレッチで心も体も整います。」
心身のエネルギーチャージのために、これぞと思う方法を習慣化していると語る吉本ばななさん。ひとつは、毎朝、神棚の水を替えることだ。
「小さい頃から母に連れられて行っていた奈良の大神(おおみわ)神社。大人になってからも、自然にご縁があるような気持ちでいて、神棚にはここのお札を飾っていますし、お守りも持っています。水を替えるのはささやかな習慣ですが、それだけで一日の始まりが違う。気分がしゃきっとするんです」
そんな吉本さんは、見えない力を味方につけている人。このインタビューを引き受けてくれたのも、不思議な偶然を感じたからだそう。
「ちょうど、私の作っているダイアリーに載せるメッセージをあれこれ考えているタイミングだったんです。今なら何か役に立ちそうなことを答えられる気がして(笑)」
師走に入ると、開運ダイアリーのようなものが数多く出版されるが、「こうしてはダメ、それは悪いこと、と叱られているような気分になる」ことに吉本さんはもやもやしていたらしい。
「もっと真っすぐに心に届いて力をくれるようなメッセージを、柔らかい言葉で綴ってみたいと思ったんです」
一節をここに紹介してみる。
〈毎日少しずつ、そうじのしかたを変えてみる。(略)どういうふうにしたら床が心地よいと思ってくれるか。どう磨いたら玄関の取っ手が輝いてくれるのか。人だと思って扱ってみる〉
「2021年は、コロナ禍の状況は少し良くなるでしょうが、気持ちのアップダウンはますますありそうという予感がします。なので、私自身も、さらに思いついた言葉などを自由に加えたりしながら活用したいです」
自分を強くしてくれる、 儀式を習慣化してみる。
また、吉本さんは、人間の自然治癒力を信頼する療法と言われるフルフォード考案のストレッチを5年ほど前から続けている。
「自分の中で生命力が巡ったと感じるまでやるのがポイントで、ものすごく体との対話をします。寝る前の習慣にしていて、どんなに時間がなくてもやりますね。体の伸びが違うんです」
新年は、心がもっと強くなる、自分なりの方法を見つけたい。
音を鳴らすと勇気が湧く、心を寄せている神社のお守り。
奈良の大神神社で授与されたお守り鈴。『古事記』にも登場する日本最古といわれるこの神社に、定期的に訪れる。
パワーをもらえる言葉の束をいつもバッグに忍ばせて。
すぐに実践できる93のメッセージを収録。2020年12月から2022年5月までの18カ月手帳になっている。桜井由佳さんによるコラージュも美しい。
毎晩欠かさないストレッチはこの本のメソッド。
19世紀にアメリカで生まれた手技療法「オステオパシー」。自然治癒力を高めるストレッチの極意は本書で。
『クロワッサン』1036号より