くり返し訪れ、第二の故郷に。暮らすように旅する、九州。【岡本敬子さん】
見たことのない景色に出合い、多様な食や文化に触れて、自由な心になる。生きる喜びを満喫できるおすすめの旅を、旅上手の岡本敬子さんに聞いた。
文・長谷川未緒
年の半分は仕事を兼ねた旅に出ているというファッション・ディレクターの岡本敬子さん。ここ数年、夏には決まって、鹿児島を拠点に、九州を訪れている。
「夫(編集者の岡本仁さん)が仕事をする会社が、夏に鹿児島でフェスティバルを主催しています。私も仕事を通じて知り合った友人に会いに、2週間ほど旅に出ます」
飛行機で鹿児島に入り、そこからは新幹線や電車などを利用して、気の向くままに熊本、大分、福岡など、各地にいる友人を訪ねて歩く。
「旅といっても、観光は美術館に行くくらいで、あとは東京にいるのと変わらないですね。昼間は仕事をすることも多いですし、夜は人と会って、おいしいごはんを食べることが楽しみです」
食通としても知られる岡本さんは各地に好きな飲食店がある。鹿児島はかつお出汁が美味なおでんと自然派ワインの店『梅屋』、熊本は地元の食材を使ったお惣菜の店『コルリ』、長崎は設えが素敵な『朱欒(ざぼん)』など。通ううちに店主と親しくなり、おすすめの店を教わったり、人を紹介してもらったり。
「鹿児島の妙見(みょうけん)温泉をはじめ、九州には、泉質のいい温泉もたくさんあります。街の銭湯でも、温泉というところが見つかりますよ。くり返し同じ場所を訪れることで、おもしろい人と出会い、いいところが発見でき、第二のホームタウンのようになります。現地に着いて方言が耳に入ってくると、ほっと安心しますね」
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