何度も通いたくなる不思議なパン屋さん、『kuboぱん』。「何の不思議もないのに」と笑うのは、するんとした肌が美しい店主・久保輝美さんだ。もちもちした絶品ベーグルとともに迎えてくれた。
「月十数回はパン教室を開いているのですが、目的は、皆さんとの会話、話をすること。パン作りはコミュニケーションツールなんです。『自分を変えたかったから』とか『新しい自分を見つけたくて』とか、参加理由もさまざまで、毎回、新しい出会い、気づきがあります」
だから、楽しくて仕方がない。
「パンの生地をこねていても、触れた人によってできるパンが違うんですね。だから『おいしくなってくれてありがとう』、そう言いながら皆で作って、食べる。言葉の力ってすごく大きくて。だからここではネガティブはやめよう、と。唯一のルールらしいルールですね」
今では、不定期で新たなサロン「kuboぱん倶楽部」もはじめ、器やアートの個展、ワークショップも開催する。
「自分にとって心地いいものが、ようやくわかるようになりました。そして、その状況は自分で作れるもの、ということも。肌についても同じなんです。特別なことはしないけれど、ていねいにケアしながら『きれいになってくれて、ありがとう』と声をかける。もうすでに、きれいになっているという前提で(笑)。自作自演? でも、現実から何を切り取るか、自分の思いと、発する言葉が現実を作っていくと思っているんです」