梅雨を気持ちよく過ごす一手間。ハーブと氷で涼やかに。

ローズマリー、ラベンダー、ゼラニウム、ボリジを凍らせた、氷の器。周囲にはタイム、チャービルを飾って。
フルーツを盛りつけた〝氷の器〟がテーブルに出てきた瞬間、取材スタッフ一同は思わず歓声をあげました。氷の中にハーブが閉じ込められキラキラと光る様はクリスタルガラスとはまた別の次元の美しさを放っています。
「ボウルを使って凍らせただけなんですよ。食べているうちに少しずつ氷が溶けてフルーツが冷たくなるのがまた気持ちいいんです。子どもたちが喜ぶと思って作ったら、意外と夫も気に入ってくれました(笑)」

色鮮やかな果実類を氷の器に入れて、彩りをより美しく。
「大きめのボウルに水を入れて、ローズマリーやタイムなど好きなハーブを散らしてから、小さなボウルを重ねて凍らせます。散らしたハーブがどんなふうになるのか、想像がつかないところも楽しくて。そのままだと小さなボウルが浮いてしまうので、上からラップをきゅーっとかけて固定させてから、冷凍庫に入れるのがコツ。凍らせた氷をボウルから外すときは、室温で少し溶かすとうまくいきます」
ドリンク用には製氷皿で氷を作る際に、ハーブや花(無農薬か食用)を加えて凍らせるハーブ氷をよく作っているそう。ジュース、紅茶、ソーダなどに入れると、たちまちおしゃれに。まるでリゾートで飲んでいるかのような爽やかさです。
自分の好きな庭でリラックス、梅雨ならではの草木の美も。

緑が生い茂る岡本さんの裏庭。なんとお隣は種苗会社!垣根にはモッコウバラや、イギリスではポピュラーなツキヌキニンドウを植えている。
ハーブは、自分で育てているものを摘んでいます。岡本さんの住まいは、長い坂道の途中に立つ一軒家。表から見れば住宅街になじんだふつうの家ですが、駐車スペースの脇を通り抜け、裏手にある細い階段を下りていくと、緑が生い茂る豊かな庭が広がっていました。
「自分にとって秘密の場所です。朝、子どもたちがまだ寝ているうちに、ひとりで庭に下りてきて、コーヒーを飲みながら鳥のさえずりを聞いている時間が、何よりの幸せ。梅雨の庭は雨で潤っているから、つやつやした葉っぱがとてもきれいなんです」
花々は咲き終わっても、のびやかに成長を続ける草木が瑞々しい表情を楽しませてくれます。
「梅雨って、じめじめしているのは嫌だけれど、花の仕事は繁忙期が過ぎてひと段落できるタイミング。5月の母の日が終わると、ようやくホッとできるんです。ふだんは手が回らない庭のこと、家のことに向き合えるから、そういう意味ではうれしい季節ですね。
植物に触れることが癒やし。ものぐさ園芸でもかまわない。

酵素シロップで作るフルーツポンチに、タイムを添えて。器もお気に入り。デザートや料理にハーブを活用して、すっきりした香りを楽しんでいる。
もとは短大で園芸を学んだことから、花の世界に入った岡本さん。卒業後はイギリスに花留学をし、本場のガーデニングに触れながら、植物の生命力に魅せられていったそう。
ラベンダー、タイム、ミント、フェンネルほか、ハーブだけでも10種類以上がすくすくと育っています。料理に使ったり、手作りの洗剤やシャンプーに取り入れたり、岡本さんの暮らしには欠かせない存在。
「ローズマリーの葉先をパサパサとふると、精油がとんで香りが漂ってきます。これぞ天然のアロマテラピーですよね」と岡本さん。たしかに、清涼感のある香りに包まれると憂鬱な気分も吹き飛びます。このような庭が持てないとしても、フレッシュなハーブを部屋に飾ることならできそう。
「花や緑のすばらしさって、知っているのと体感するのではぜんぜん違うなっていつも思います」

ドリンクには、気軽に作れるハーブ氷がおすすめ。
◎岡本典子さん/センスある花のスタイリングに定評。メディア、イベントなどで活躍中。『Tiny N/Tiny N Abri』主宰。
クロワッサン903号『かんたんカラッと、掃除のワザ』(2015年6月25日号)より
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