上の写真は、神奈川県に住む大森直子さん宅のキッチンだ。家族構成は、夫婦と小学校に入る前の子ども2人の4人。朝夕の食事とお弁当でフル稼働している。このキッチン、一見きちんと機能的に整理されているように見えるけれど、大森さんは日々使い勝手の悪さを感じているらしい。
「いつも調理台の手前の小さなスペースに小さなまな板を置いて作業をしています。なんでこんなに狭いんだろう」
確かに、シンクとレンジの間の調理台にはいろいろなものが置かれている。
「鍋やフライパンや包丁のような調理器具、食材や調味料の収納場所をよく考えず、その時収まりやすいところに入れてはいませんか?」
大森さんに疑問を投げかけるのは、収納カウンセラーの飯田久恵さん。どこのキッチンにも、それぞれのモノが収まるべき場所があるというのだ。
「食事を支度する際、長い時間立つ定位置はシンク前とコンロ前。そこに立った時、使いたい調理器具、調味料などが、手を伸ばすだけの少ない動作で出し入れできることが大切です」
飯田さんによると、調理器具や食材などを適材適所に収めれば、無駄な動きがなくなる。食材や道具類も効率的に整理され、結果、作業のスペースを広く確保することができる。
そのためにモノの収納場所を決める基準が“収納指数”だ。
「収納指数とは、使う位置から必要なものを取るまでに歩く“歩数”に“アクション数”(動きの回数)を加えた数です。与えられた条件の中で、いちばん出し入れしやすいモノの指定席を決める基準として考えました。収納指数が大きいものが多いと、キッチンを動き回るばかりで非効率的です。逆に収納指数が小さければそれだけ、てきぱきと料理ができて、片づけも楽になります」
飯田さんは、例としてフライパンの収納指数を示し、改善策を提案した。ちょっとした工夫と収納場所の変更で、大森さんのキッチンが機能的に変貌する。