プロテニス選手として17年間、世界のトップレベルで活躍した杉山愛さんが、著書『すべての疲労は脳が原因』で疲れの正体を解明した梶本修身さんに疲れをためない方法を聞きました。
杉山愛さん(以下、杉山) 現役時代は体力勝負で肉体の疲れをいかに取るかっていうことが重要課題でしたが、いまは息子が1歳9カ月で子育て真っ只中なんです。だから心身両方のバランスが取れるように生活を工夫していますが、やっぱり疲れは感じますね。
梶本修身さん(以下、梶本) 国が疲労の研究をスタートしてまだ20年ぐらい。とくにこの10年でわかってきたのは、運動やデスクワーク、あるいはメンタル面など疲れの原因は別だけれど、疲れる場所は一緒だということです。
杉山 どこなんでしょう?
梶本 自律神経です。自律神経は呼吸、消化吸収、血液循環、体温といった生きるためのベースとなる機能を整える神経システムで、脳幹にある視床下部や前ぜんたいじょうかい帯状回が「自律神経の中枢」といわれていて、ここに一番負担がかかります。疲労はこの自律神経の消耗と疲弊によって生じるんですね。