【光熱費編】よかれと思っていたその節約術、実は逆効果かもしれません。
撮影・黒川ひろみ イラストレーション・柿崎サラ 文・小沢緑子
家の照明を、一度に すべてLEDに取り替える。→×
約4万時間という長寿命で、ランニングコストが安いとされるLED。
「白熱灯や蛍光灯は消費電力が多く寿命が短いので、いずれは家じゅうの照明をLEDに取り替えるのが理想ですが、LEDはまだまだ価格が高く一度に取り替えるとコストがかかる。リビングなど頻繁に長時間使う部屋だけ先に取り替えて、玄関など1日に使う時間が短い場所は後回しにするのがいいと思います」
それぞれの照明を1日5・5時間点灯した場合の電気代を年間で比較すると、白熱電球(60W相当)は2,920円、電球型蛍光ランプは650円、電球型LEDランプは510円となり、LEDが一番安い。買い替えのコストを考えつつ、徐々に切り替えていくのがやはりよい。
給湯パネルの電源を 入れっぱなしにしない。→◯
家庭で使用している製品の中で待機電力が多いのは、実はガス給湯器や給湯器付き風呂釜を含むガス温水機器。全待機電力量の19%を占めるというデータがある。
「給湯器は家電のようにプラグを抜くことはできませんが、給湯パネル自体にもけっこう待機電力がかかっています。長時間お湯を使わないときはパネルの電源をオフに。そうすると蛇口が混合水栓の場合、レバーを不用意にお湯側に動かしてしまってもお湯が出てこなくなるので、ガス代のムダも防ぐことができます」
掃除機のスイッチは ちょこちょこ切りながら掃除。→×
「掃除機はスイッチを入れていればその分電気代がかかりますから、かけっぱなしにしないでこまめに切るほうがいいです。ただ、節約という意味で考えると、掃除機をかける時間を短縮するほうが効率的。あらかじめ部屋を片づけてから一気に短時間で済ませるのが一番」
掃除機を使う時間を1日1分短縮すれば、年間約150円、また、パック式の掃除機の場合はゴミパックが満タンになる前に交換して使うと、年間40円が節約できる。
「運転モードは、掃除機が自動的に強弱を切り替えてくれる『オート』で。機能がない場合は、じゅうたんは『強』、畳やフローリングは弱でも強でも吸い込むゴミの量に差がないので、『弱』にして使うと節電につながります」
お風呂の湯が冷めたら、 追い焚きをする。→×
「追い焚きは、ガス給湯器でお湯を作ることと比べると高コスト。湯温を3度上げるだけで10円近くかかります」
最近のガス給湯器は省エネ性能がより高まっていて、旧モデルの約80%から95%まで熱効率が上がった製品も。
「お風呂のお湯が冷めたら、追い焚きより、給湯器から高温のお湯を出して足し湯をするほうが安く済みます」
また、水温で異なるが、冬場のお風呂は冷めた残り湯を沸かし直しするより、給湯器からお湯を新たに張り替えたほうが節約になる場合も。一般的にお風呂のお湯は水から沸かしたり、沸かし直すより、給湯でお湯を張るほうが得。
「もちろん、水をムダにしないように、残り湯はそのまま捨てずに洗濯や掃除などに再利用するのがベターです」
トイレは、 毎回「小」で流して節水。→×
「トイレの水はムダにたくさん流れているわけではありません。便器から配水管、下水管へと流す水量や水圧がちゃんと計算されていて、下手に節水しようとすると、トイレが詰まる原因ともなり、余計な費用がかかることも」
基本的にトイレの洗浄レバーやスイッチは、トイレットペーパーも一緒に流すときはすべて「大」に。男性の小用などでトイレットペーパーを流さないときは「小」を使用する。
「ひと昔前、節水をするためにトイレのタンクにペットボトルなどを入れる方法がありましたが、あれも間違いです。汚物を流すのに必要な水量が流れず、やはりトイレ詰まりやタンクが壊れる原因に。節水はトイレではなく、お風呂や台所などほかの場所で考えましょう」
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