摂食障害の経験を告白するモデルやアーティストが現れ、ファッション業界を中心に「やせすぎ」に対する問題意識が高まる昨今。自分のありのままの身体を受け容れようというムーブメントは、日本でも話題になっています。
ただ、そうした動きは決して新しいものではないことが、フランス『ELLE』誌との提携記事を読むとわかります。1960年代はツィギーが一世を風靡し、ほっそりとした体型がもてはやされた時代。しかしこの記事が編まれた1970年代終わりにはその反動か、<やせていることが美人の絶対条件といったことはなくなりました>とあります。
記事では、ふくよかな人が自身の装いについて語り、細身の服しかつくらないデザイナーとLサイズの服のメーカーの意見をあわせて掲載。さまざまな角度から体型との付き合いかたを考察しています。
なかでも印象に残ったのが、栄養学医師の言葉。人にはそれぞれ適正体重というものがあり、厳しいダイエットによらなければ達成できない体重は、美しさを損なうだけでなく、精神のバランスを失う危険もあると警告します。
それから40年あまり、残念ながら女性たちはいまも身体の線の呪縛から逃れられてはいません。それは、やはりこの問題が社会とは無縁ではないからでしょう。一人ひとりの意識が変わると同時に、社会のまなざしも変わらなければ、この問題は「永遠に」女性たちを悩ませ続けるのではないでしょうか。
※肩書きは雑誌掲載時のものです。