贈りもののときに気をつけたい、基本的なマナーとルール。
撮影・黒川ひろみ イラストレーション・いぬんこ 文・小沢緑子
【手みやげ】時と場合に応じて、持参するものや渡すタイミングを考えて。
手みやげの中でも失敗したくないのが、お詫びの際に持っていく品物。
「老舗の最中や羊羹といった、フォーマルな場で通用する菓子折りなら間違いがありません。そのときに気をつけたいのは、先にお詫びの品を渡さないこと。まずは誠意を込めてお詫びをしてから、帰り際に『せめてものお詫びの気持ちです』と品物を差し出します」
初対面の人への手みやげで、相手の好みがわからない場合は?
「自分の地元の名産や老舗の銘菓、老若男女誰にでも好まれるカステラや高級果物、あるいは籠入りなどそのまま飾れるフラワーアレンジメントも喜ばれますよ。手渡すときは『心ばかりのものですが』と添えて。また、これはどの場合にもあてはまることですが、訪問先の近所で手みやげを買うと手間を惜しんだ〝間に合わせ〟の印象を与えてしまうので避けるようにします」
親しい人への手みやげは一緒に食べることを想定して買うこともあるが、本来は相手とその家族のために買うものなので、自分の分を買う必要はない。
「もし訪問先で一緒に食べたいと思うなら、親しき仲にも礼儀ありで、その場で一緒に食べる人数に、相手を含めた訪問先の家族全員の人数分を加えて買うという配慮が必要です」
手みやげも改まった場面と同じで、部屋に案内されてから渡す。ただし、ホームパーティのようにほかの人たちも集まる場に招かれたときは、玄関先で渡したほうがいいケースもある。
「要は、相手にもその場にいる人たちにも気まずい思いをさせないための“思いやり”です。『どうしたら相手が喜び、その周囲にいる人も気分よくいられるのか』を基本ルールとして考えれば、どんな場面でも手みやげをスマートに渡せるようになりますよ」
岩下宣子(いわした・のりこ)●マナーデザイナー。現代礼法研究所主宰。多数の企業や団体でマナー講座、指導、研修を行う。『心が「ほっ」とする小さな気くばり』(三笠書房)が刊行されたばかり。
『クロワッサン』985号より
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