【料理家・坂井より子さん編】いつも家がきれいな人に聞く、汚れをためない小さな習慣。
撮影・三東サイ 文・小沢緑子
“あとで自分がラクしたい”という気持ちが原動力になっています。【料理家 坂井より子さん】
「年末の大掃除はしないんですよ。最後にしたのはいつだったかしら」
そう微笑む坂井より子さんの自宅はチリひとつないほどきれい。この状態を日々の習慣で保っている。
坂井さんの掃除法は主に4つ。まずは、朝食の片づけをした流れで玄関からリビング、キッチンまで一気にほうきで掃く「朝の10分掃除」。夕飯後はキッチンの後始末をする「一日の終わりの掃除」も日課だ。
さらに長年の習慣になっているのが「ついでの掃除」。たとえばトイレや洗面所は、朝一番で自分が使った後に。キッチンは水や油がはねたら、料理中でもこまめに拭く。
また、毎日ではないが、窓や仏壇など普段気づかない場所は、汚れが目に留まったらすぐ拭いて後回しにしない「気づいたときの掃除」も。
「掃除はキリがないでしょう。だから汚れがたまる前に“先取り”して、ほかの家事の流れやついでに済ませてサッパリしたくて(笑)。どの掃除も“あとでラクしたい”という気持ちが原動力になっています」
坂井さんの“無理がなくて合理的”な掃除方法を見せてもらった。
[習慣1]汚れが目についたときが、掃除のタイミングと思う。
「窓など毎日掃除しない場所は1カ所でも汚れに気づいたら、ほかも汚れていると思って掃除にとりかかります」。窓の内側は水拭きしてから乾拭き。桟の汚れは竹串で取り除く。
[習慣2]一日の終わりには、シンクの中も忘れずに。
「汚れがたまりやすいキッチンは、夕飯後に必ず『一日の終わりの掃除』をします」。コンロ周りを拭き、シンクの中はクレンザーで洗って水滴を残さずに拭き取り、最後に使ったふきんを石鹸で洗いラックに干して終了。
[習慣3]料理中にも掃除と片づけを同時進行。
料理中は調理台に台拭き、床に雑巾を置き、水や油がはねたらその都度拭き取る。「いつものことなので手が自動的に動くの(笑)。ついでに拭くだけなので何秒もかかりませんよ」
[習慣4]家族が一番使う場所は、朝のうちに一気に行う。
玄関からリビング、キッチンの床は、朝食後にほうきで一気に掃く。「日課の掃除は朝済ませて、その後は『ああ、すっきりした』と過ごしたくて。ほうきを使うのは重たくないから。じゅうたんの上も構わず掃き出します」
[習慣5]水回りは仕上げに、はねた水をひと拭き。
洗面台などの水回りは使ったついでに掃除をするが、「水滴の跡が残らないように、最後にひと拭きします。するとピカピカになって気持ちがいいので」。洗面台の掃除用タオルはかごに用意し、使用後はそのまま洗濯に回す。
[習慣6]道具は家にあるもので。ペーパータオルも便利。
「仏壇は雑巾だと失礼なので、厚手のペーパータオルを濡らして拭きます。ペーパータオルは便利。私はちり取りを使わないから、掃いた後のちりを拭うのにも使っています」
[習慣7]整理できないときは、いったんとりあえず入れに。
どんなものにも“指定席”をつくって整理する。「でもいつも完璧にはできないので、そんなときのために“仮の指定席”もつくっています」
[習慣8]小さく折り畳んでスーパーの袋も整理する。
ゴミ袋にするスーパーの袋にも“指定席”の空き箱が。「これで100枚以上。小さく畳むとかさばらず、まだまだ余裕で入りますよ」
坂井より子(さかい・よりこ)●料理家。神奈川・葉山で夫と長男・長女家族と3世帯で住む。著書に家庭料理や暮らしの知恵を伝える『暮らしをつむぐ』(技術評論社)など。
『クロワッサン』987号より
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