整っていても災害時にはスキだらけ。安全なキッチンはこう作り変えよう。
撮影・岩本慶三 文・一澤ひらり
東京都内の一戸建てに夫と高校2年の長女と中学校1年の長男、猫と暮らす吉田綾さん。「防災にはすごく関心があるんですけど、日常生活に反映できなくて」と話す吉田さんに、熊田さんが地震でも安全なキッチン収納のコツをアドバイスした。
「キッチンカウンターやガス台周辺に書類や料理本など、紙類がけっこう置いてありますよね。これは火事の原因になるので厳禁です。それに消火器は使用期限が過ぎています。メーカーに連絡して回収と交換を行ってくださいね」
キッチンは可能な限り、表に何も置かないのが防災の基本。
「水切りかごを使っていると包丁を出しっぱなしにしている家が多いです。大地震がきたら跳ねて飛んでくるので絶対しまっておきましょう」
次に熊田さんが注目したのは吊り戸棚。手の届かない最上段に普段ほとんど使わないというワイングラスや大鉢などが収納されている。
「大鉢は頭に落ちてきたら大怪我、グラスは落ちて割れ、それを踏んだら足に大怪我。高い所には軽くて割れないものを置くことがポイントです」
家電の固定も防災対策の基本だが、吉田家はほぼ無防備状態。
「大型冷蔵庫、ガス炊飯器、トースターなど、どれも転倒防止対策ができていません。でも耐震ゴムを貼ると、強力な粘着力で震度7相当にも耐えられると説明書に表記があります」
熊田さんからの指摘を受けながら、吉田さんは片づけを実践。写真のように置きっぱなしのものは排除。家電類も固定して、防災の観点からも安全で快適なキッチンに。
「見た目には一見きれいでも災害で修羅場に変わりそうなキッチンはいっぱい。キッチンは家の心臓。主婦が長い時間を過ごす場所には最大限の防災対策が必要なんです」