くらし

家事をやらない男は、生活をしてないと思いますよ――S・Hさん(テレビ映画プロデューサー)

1977年創刊、40年以上の歴史がある雑誌『クロワッサン』のバックナンバーから、いまも心に響く「くらしの名言」をお届けする連載。今回は、従来の夫婦役割に縛られない男性からの「家事のススメ」に耳を傾けます。
  • 文・澁川祐子
1977年10月号「家事は男子一生の仕事である。」より

家事をやらない男は、生活をしてないと思いますよ――S・Hさん(テレビ映画プロデューサー)

タイトルを読んだだけで、拍手を送りたくなるようなこの企画。家事を得意とする男性が、家事への情熱とその醍醐味を語っています。

当時は「イクメン」なんて言葉のない時代。家事をする男性はさぞや肩身が狭かっただろうと思いきや、<いつ頃からだろうか。男たちは気負うことも、恥じることもなく、実に晴れやかに自分の庖丁を自慢し、買い物のコツを語る>と勇ましい言葉が並んでいます。

料理から皿洗い、洗濯、掃除、育児まで。得意とする家事は人それぞれ。しかもみな、イヤイヤながらというより、むしろ進んで工夫しながらやっている様子が伝わってきて好感が持てます。

そんなうちの1人、家事はなんでもやるという33歳の男性の発言が今回の名言。続けてこうも話します。

<女房を助ける意識でやってはダメだ。助けるんじゃなくて、今まで欠落していた“生活”を男も取り戻すことなんだ、と考えています>

夫にとって、家事は手伝うものではなく、生活の根っこを支える大事なものだということ。パートナーに言って聞かせたいと思う女性もいるのではないでしょうか。

しかしながら40年以上経った現状はというと、6歳未満の子供を持つ夫の家事・育児に費やす時間は1日あたり83分(平成 28 年社会生活基本調査)と、先進国のなかで最低の水準。意識は変わりつつあっても、実際の行動が伴うまでには、まだまだ時間がかかりそうです。

※肩書きは雑誌掲載時のものです。

澁川祐子(しぶかわゆうこ)●食や工芸を中心に執筆、編集。著書に『オムライスの秘密 メロンパンの謎』(新潮文庫)、編著に『スリップウェア』(誠文堂新光社)など。

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