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【メール美人の実践ルール】相手のほしい情報を明確に伝えつつ、 随所に気持ちを表す言葉を入れて。

撮影・三東サイ  文・嶌 陽子

岸本葉子さん エッセイスト
岸本葉子さん エッセイスト

“岸本葉子です。お声がけをありがとうございます。喜んで承ります。日程につきましては〜”

“うれしいご返信をありがとうございます”

丁寧さと朗らかさ、温かな気遣いが程よく混じった文面。岸本葉子さんのメールは、読む人の心を和ませる。しかも、伝達内容は明確で簡潔。

「昔は、堅苦しく、ガチガチの文面でしたが、少しずつ今のような形になってきました。程よく感情を入れると、親しみを持ってもらえるし、自分も書いていて楽しいですから」

原稿執筆や講演依頼、取材に関するメールをやり取りすることが多い。数々のメールを受け取る中で、うれしいと感じるのは、“原稿のこの部分がとても心に沁みた” “今後もご縁を続けたい”といったポジティブな気持ちを表す言葉だという。

「自分が日々いただくメールが、一番のヒントになりますね。私も、自分の気持ちをなるべく正直に、具体的に入れるようにしています」

メール美人の実践ルール

●相手の知りたいことを先に伝える。
「たとえば、執筆などの依頼の場合、まずは相手が一番知りたがっている、引き受けるか否かについて答えます」。理由はその後から。時には件名でにおわせる場合も。

●長文になる時は、初めに予告しておく。
結論を述べた後、「長くなりますが、ご容赦ください」と早めに宣言して相手を気遣う。大事な連絡先などは「末尾に記します」など、見落とさないような配慮も。

●ネガティブな言葉や語尾はなるべく使わない。
「ただし〜、」「〜できません」は突っぱねている印象を与えるので「〜できない状況です」などと言い換える。

●自分の気持ちを正直に添える。
「喜んで」「ぜひ」といった前向きな言葉や、「身を乗り出す思いです」「思わず膝を打ちました」などと自分の動作を取り入れた表現を随所に入れて、生き生きとポジティブな印象に。

 ●お詫びやお悔やみは、簡潔に。
お詫びは言い訳をくどくどせず、潔く。「お悔やみやお見舞いも、相手の気持ちを慮り、無理に独自性を出そうとせず、定型文を短く書きます」

 ●言いにくいことを伝える時は、“私は”を主語にする。
「あなたの連絡では〜がわかりません」と相手を責める言い方を避けるため、「私は〜について不安を感じています」「私は〜をもっと詳しく知りたいです」などと言い換える。

岸本葉子(きしもと・ようこ)●エッセイスト。食や暮らし、旅にまつわるエッセイ多数。近著は『俳句、やめられません:季節の言葉と暮らす幸せ』(小学館)。

『クロワッサン』975号より

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