くらし

【春日俊彰さん】お財布、見せてもらっていいですか?

  • 撮影・岩本慶三

糸がほどけて一枚の革にならない限り、財布も使い続けます。

お笑い芸人 春日俊彰さん

芸能界きっての、ユニークな倹約家として知られる、春日俊彰さん。数々の逸話は、伝説ともいえる領域に。
「飴を溶かしてジュースを作るとか、牛丼を買ってきて5回くらいに分けて食べるとか、ですね。以前は必然的にそれをやらないと生きていけない状況だったので。けど、苦じゃなかったですね、もともとそういうの好きなんで」
ジュースがなくても、飴があれば水に溶かせばよいと思いつき、来客に出したところ、「おかしいだろう」と指摘され、初めて気づいたということも。
「自分では普通だと思っていても、他人からは変だと指摘されることが多い。以前、好きな漫画のシリーズをブックオフの100円コーナーだけで集めたことがあって。300円で買うと損した気分になるので、あちらこちらの店をめぐって探し、6年かかりました。最後の一巻が見つかった時はうれしかったですね。後輩にその話をしたら『6年分の労力と時間を考えたら、300円で買ったほうがいい』と言われて」

自分の労力をお金に換算しないし、目の前の金額、数字しか見ていないので、よくよく考えたら損しているということは、今までたくさんあった。
「ぱっと買い物できないんです。整髪料ひとつでも知りうる限りのドラッグストアをまわって、すべてのブランドを見比べてから買う。サイズもどれがお得か、1gいくらまで計算して。前に、それであっという間に1時間くらいたっていて。店の外に出たら、止めていた原付のハンドルにかけてあった買い物袋が盗まれていたことがありました。その店に入るまでに買ったものすべてが入っていたので、さすがに声を荒らげましたけど。おいっ!って」

そうまでして無駄なお金を使わずにいても、貯蓄が目的ではないというのも、またユニークな感覚だ。そのものの価値に見合ってないお金を使いたくない、純粋にそれだけなのだという。
「風呂なしの部屋に18年住んでいるけど、風呂ありを近所で探すと今より3万円くらい高くなる。でも“毎日風呂に入ること”に、それだけの価値はないと思うんですよ。ジムやテレビ局で週に半分入れているから充分。あと300円プラスで風呂ありになると言われたら、絶対に引っ越しますけど」

そして、基本的に機能が失われるまで、物は使い続けるという。
「財布も全部ほどけてばらばらになって一枚の革にならない限りは使い続けますね。愛着のあるなしでなく、新しいものを買うという発想がないんです。でも、ブランド品も考え方によるかな。やっぱり丈夫で長く持つので、今から死ぬまで50年くらい使えば、10万円のお財布も年に数千円とかになるし」

いつかはそうした「よいものの価値がわかる大人」になりたいと思うが、今は倹約マニアの自分を楽しんでいるのかもしれない、と分析している。

今の財布は7〜8年くらい使っている。前の財布は小銭入れが破れてガムテープで留めていたが、それを見かねた人がくれたものだそう。
今の財布は7〜8年くらい使っている。前の財布は小銭入れが破れてガムテープで留めていたが、それを見かねた人がくれたものだそう。

春日俊彰(かすが・としあき)●お笑い芸人。埼玉県生まれ。「オードリー」ボケ担当。TBS『炎の体育会TV』、日本テレビ『スクール革命!』、テレビ朝日『ロボット旅』などに出演。

『クロワッサン』980号より

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