当の犬山紙子さんも、これに初めて対面したのは、手みやげとしてだった。贈ってくれたのは、親しくお付き合いをしている、作家の柚木麻子さん。
「万人にウケるというよりは、私のことを考えてセレクトしてくれたんだということがわかり、その気持ちが何よりもうれしかった」
という犬山さんは、自他ともに認める大の柴犬好きである。が、パッケージの“ハチ”は“ハチ”であるからもしやこれは秋田犬であろうか? ということが問題なのではない。そんなことより、何と愛らしいイラストであることか!
「犬好きですが、犬なら何でもいいというわけでもないんです(笑)。デフォルメされたものが苦手。そこへきたらこの絵はリアルなタッチでフォルムもかわいらしい。私の好きなイラストです」
実家の宮城県では長いこと柴犬を飼っていた。名前はコロッケ。
「13年半一緒に暮らしていた男の子なんですが、一昨年亡くなってしまいました。今は自分で飼うことができないので、SNSなどの投稿でよそさまの柴犬を見て気持ちを癒やしています」
パッケージの中には4枚のチョコレートクッキーが入っている。
「チョコは甘過ぎずにビター、大人の味わいです。4枚という枚数も何か大人っぽくないですか?」
先日、実家近くで暮らす2歳上の姉にこれを贈った。すると……。
「商品をじっと見て、あんたわかってるじゃない、とニヤッと笑いました」
短い言葉でありながら、ぐっとくるものに深い満足を覚え、思わずをゆるめてしまう。これぞ手みやげの神髄だと思った。柚木さんにもらったあの感動を、今度はおなじ柴犬好き仲間に分け与えたいと画策する、犬山さんである。