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高座で演じる噺の稽古方法をお教えします。│柳家三三「きょうも落語日和」

イラストレーション・勝田 文

高座で演じる噺の稽古方法をお教えします。│柳家三三「きょうも落語日和」

以前、雑誌の取材を受けたときに「落語家さんはあんなに面白い物語を作っては演じて、びっくりです」と記者さんに言われて逆にびっくりしたことが。確かに自分で落語を創作して演じる人も少なからずいますが、大多数の噺家は昔からある落語を稽古で覚えておしゃべりするのです。その落語も昔、誰かが作ったものなんですよね。ううむ、“作れない”側の私には神技に思えます。

落語の稽古というのは、稽古をつける者と教わる者が1〜2mの距離で向かいあわせに座り、教える側が高座さながらに演じるものを聴いて覚えます。覚えたら今度は教わる側が一席演じ、それに対して教える側が言葉遣い、緩急抑揚から仕草、そして噺の構成や人物造形まで細かく指摘し、修正を加えてまた演じ……これでよしと許可が出たらお客さんの前で演じることができるのです。教わった師匠の前で演じる時にも、許可が下りてお客さんの前で喋る時も、事前に一人での稽古も欠かせません。

きちんと着物を着て座布団に座らなければ稽古をする気にならない人もいれば、道を歩きながらブツブツやって覚える人もいます……このタイプはおまわりさんの職務質問を受けがちですけれど。

今、私自身が理想としているのは、稽古の時は細心の準備を怠らない綿密さ、高座に上がったらそれを全て忘れての出たとこ勝負。いつも“知ってる噺なのに新鮮”であることが、演者にもお客さんにも素敵な“落語日和”をもたらしてくれる秘訣だと思っているんです(※意見には個人差がありますからねー)。

柳家三三(やなぎや・さんざ)●落語家。公演情報等は下記にて。
http://www.yanagiya-sanza.com

『クロワッサン』979号より

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