大学に入学後、真瀬さんは念願の役者として活動するが、思い悩むことも多かった。同業の先輩の野際さんに相談するも、返ってくる答えは「そんなネガティブなことを言っている間に、前向いてできることをしなさい」というもの。
「今思えば、母なりの私へのエールで、背中を押してくれていたのでしょう。でも当時の私にはわからず反論すると、その後に母からさらに説教を受けて、泣いて自分の部屋へ逃げ帰る日々でした」
真瀬さんは自分の素の姿を見せられなくなり、30歳になるまで親子関係はどこか壁があるままだった。しかし、真瀬さんはある日、いつものように口論で打ち負かされた後に野際さんに“ただ話を聞いてほしかった”ことと“抱きしめてほしかった”と本音を訴える。野際さんもそれを聞いて、寂しい思いをさせたり、気づかなくてごめんねと泣きながら答えた。