打ち合わせで出版社を訪れる時や、友人宅に遊びに行く時、さらには、自身の小説を原作にしたテレビドラマや映画の撮影現場を訪問する時など、手みやげを贈る機会は多いという作家の桂望実さん。
「日頃から雑誌などの手みやげ特集をチェックしています。気になるものがあると取り寄せて、まずは自分で食べてみる。おいしければ、人にも贈るんです」
“ゆうたま”も、数年前に雑誌で見つけたのが出合い。見た目が涼しげで可愛らしいというのが第一印象だった。
「さっそく取り寄せて食べてみたら、あっさりとした上品な味わい。おまけに、これまでの経験を通じてたどり着いた“日持ちがする、個別包装されている、軽い”という手みやげの条件も全てクリアしていたんです。それ以来、たびたび取り寄せては贈るようになりました」
茜庵は、徳島県に本店を持つ和菓子店。一口サイズのゼリー“ゆうたま”は、長野県産の寒天と、柚子やすだち、山桃や梅、ゆこうなど、厳選された四国の果実を用いて作られている。
「見た目がきれいなこともあり、海外の人にも喜んでもらえます。私も、手みやげ用に取り寄せる際、自分の分も少し買って、時々執筆中につまんでいますね」
小説家になる前の会社員時代に、秘書をしていたという桂さん。手みやげ選びも仕事のひとつだった。
「当時はインターネットもなかったので、先輩に聞いたりしながら探していました。前回と品物が重複しないよう、誰に何を贈ったかのリストも作っていたんです。以前、そのことを思い出して、自分でもリストを作ってみたんですが、50行くらいまでで挫折してしまいました(笑)」
とはいえ数々の経験を通じて、今や手みやげ選びは達人の域に。“ゆうたま”は、そんな桂さんの手みやげリストに、見事仲間入りを果たしたのだ。