【後編】猫沢エミさんの「パンがある朝の食卓」。食べたいものは身体に訊く、 海苔たまサンドか苺タルティーヌか。
撮影・三東サイ
香川から届いたベーグルを母からもらった九谷の皿に。
毎日食べるものだから、そのためだけに遠くのパン屋さんまで出かけたり、取り寄せたりすることはしないという猫沢さんだが、例外もある。
「以前、東京・谷中にあった『旅ベーグル』という、すっごくおいしいベーグル屋さんなんですけど、香川に移転されたので、たまに取り寄せるのが楽しみで。おまかせセットでお願いすると、そのときどきで季節の新鮮な組み合わせのものが届くので、どうやって食べようか、とアイデアがわくんですよね。たとえば、クランベリーといちじくとミント、なんていうベーグルが届いたら、どんなジャムを合わせようかってわくわくします。決まって入っているデュカというベーグルは店長の松村純也さんがブレンドするスパイスがエキゾチックで、グリュイエルチーズとよく合うし、これで海苔たまサンドを作ることも」
もうひとつ、必ず入っているあんこ黒ごまベーグルもお気に入りで、おいしいバターを豪勢にのせるのがお約束。
「あんバターのおいしさってありますよね。バターをケチったらこれ食べる意味ないって思いますもん(笑)」
右上の写真に写っている、碧いバタードームはかつてフランス・ブルターニュの民藝陶器の工房を訪れたときに手に入れたもの。工房の主人がサックスを吹く人でひとしきり音楽談議で盛り上がったのだという。
「日本の音楽も聴くというから、どんなのを?と尋ねたら、『渋さ知らズ』と。え、うちのバンドのベースは元『渋さ知らズ』のメンバーだったんだよ、って。今でもこれを使うたびにフランス語イントネーションの“シブサシラズ”っていう響きが脳内再生されて、あのご主人、どうしてるかなあって思う」
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