「庭は、心からリラックスできる場所。私の生活に欠かせないものです」
と語る岡本典子さん。植物の世話をしたり、自然に触れてリフレッシュする時間はもちろん、たくさんのハーブや季節ごとに実る果物を収穫して日々の生活に取り入れることもまた、楽しみであり、癒やしになっているそう。
春にワイルドストロベリーの花が咲くと、子どもたちは、その実を摘み食いするのを待ちわびる。夏にどんどん伸びてくるハーブを摘んでは何種類もブレンドしてハーブティーを淹れたり、フレッシュなリースに仕立てて部屋に飾ったり。岡本さんが「庭はリビングやキッチンの延長みたいなもの」と言うように、生活の片隅にはいつもさりげなく庭の恵みがある。
秋、レモンの実が大きくなってきたら、長男の大好物だというレモンクッキーを作るのが恒例。庭のレモンは、市場に出回っているものと違い、熟すのを待ってから収穫できるので、新鮮で香り豊か。自分で育てたものだから、安心して皮ごと食べられる。
「レモンの木は、意外と育てやすくておすすめです。鉢で買ってきてもちゃんと実がなるので、地植えにかぎらずベランダなどでも栽培できますよ」
大活躍のレモンは、ハーブとともにミネラルウォーターに浸けて「デトックスウォーター」にもすれば、皮つきのリンゴと合わせてコールドプレスジュースを作ったりもする。
「朝はよく家族でジュースを飲むのですが、レモンや柿など季節ごとの庭の実りに買ってきた野菜や果物をミックスして、味のバリエーションを楽しんでいます。柿は昨秋、たくさん実がついたのに、葉が落ち始めた途端に鳥がほとんど食べてしまって、私たちの分は残りわずかに……。しまった!と思いましたが、鳥たちにおいしく食べてもらえたのなら、いいかなって」
実がなったり、ならなかったり、なったけれど鳥に食べられてしまったり。季節の巡りは毎年同じようでいて、少しずつ違っている。そんな歳月を気長に重ねるのも、庭を育んでいくことの喜びなのかもしれない。