くらし

【庭を楽しむ 岡本典子さん】みずみずしい庭の恵みを、食べて・飾って・愛でて。

ハーブや果実は目で楽しみつつ料理などに使えるのも魅力。庭が暮らしの一部になります。
  • 撮影・中垣美沙 文・黒澤 彩
花生師 岡本典子さん

「庭は、心からリラックスできる場所。私の生活に欠かせないものです」
と語る岡本典子さん。植物の世話をしたり、自然に触れてリフレッシュする時間はもちろん、たくさんのハーブや季節ごとに実る果物を収穫して日々の生活に取り入れることもまた、楽しみであり、癒やしになっているそう。

春にワイルドストロベリーの花が咲くと、子どもたちは、その実を摘み食いするのを待ちわびる。夏にどんどん伸びてくるハーブを摘んでは何種類もブレンドしてハーブティーを淹れたり、フレッシュなリースに仕立てて部屋に飾ったり。岡本さんが「庭はリビングやキッチンの延長みたいなもの」と言うように、生活の片隅にはいつもさりげなく庭の恵みがある。

秋、レモンの実が大きくなってきたら、長男の大好物だというレモンクッキーを作るのが恒例。庭のレモンは、市場に出回っているものと違い、熟すのを待ってから収穫できるので、新鮮で香り豊か。自分で育てたものだから、安心して皮ごと食べられる。
「レモンの木は、意外と育てやすくておすすめです。鉢で買ってきてもちゃんと実がなるので、地植えにかぎらずベランダなどでも栽培できますよ」

大活躍のレモンは、ハーブとともにミネラルウォーターに浸けて「デトックスウォーター」にもすれば、皮つきのリンゴと合わせてコールドプレスジュースを作ったりもする。
「朝はよく家族でジュースを飲むのですが、レモンや柿など季節ごとの庭の実りに買ってきた野菜や果物をミックスして、味のバリエーションを楽しんでいます。柿は昨秋、たくさん実がついたのに、葉が落ち始めた途端に鳥がほとんど食べてしまって、私たちの分は残りわずかに……。しまった!と思いましたが、鳥たちにおいしく食べてもらえたのなら、いいかなって」

実がなったり、ならなかったり、なったけれど鳥に食べられてしまったり。季節の巡りは毎年同じようでいて、少しずつ違っている。そんな歳月を気長に重ねるのも、庭を育んでいくことの喜びなのかもしれない。

庭のハーブと花々を閉じ込めた氷の器はおもてなしにも。

見た目にも美しい氷の器は、フルーツやアイス、素麺などを盛るのにぴったり。ボウルに水を張り、ハーブや花(毒のある花もあるので、エディブルフラワーが安心)を浮かべてひと回り小さなボウルに重石を入れて重ね、浮いてこないようにラップなどで包んで冷凍庫で凍らせる。製氷皿で作る普段使いの氷でもアレンジできる。

秋から冬に実がなると皮も果汁も使ってレモンクッキー作り。

甘酸っぱさとレモンの香りがはじけるクッキー。小麦粉、砂糖、バターを混ぜ合わせた生地にレモンの皮をすりおろして加える。冷蔵庫で寝かせた生地を切り分け、180℃のオーブンで20分ほど焼き、冷めたらレモン果汁に粉砂糖を溶かしたアイシングをかける。ポピーシードを混ぜたり、ピスタチオをトッピングしても。

ローズマリーの香りが食欲をそそるフォカッチャ。朝ごはんにも、ワインにも。

パン生地の材料(強力粉、ドライイースト、砂糖、塩)にぬるま湯を加えてよくこね、1時間ほど置いて発酵させる。オリーブオイルを加えて切り分け、さらに30分発酵させる。形を整えて指で表面を押してくぼみを作り(ここにオイルが溜まるのがおいしい)、ローズマリーと岩塩をのせて190℃のオーブンで20分ほど焼く。

完熟レモンとミントの風味の、デトックスウォーター。

オレンジのような色に熟していく岡本さんの庭のレモンの実。使いきれないときには、スライスしてミントの葉と一緒に水に浸け、デトックスウォーターに。レモンの酸味とミントの清涼感が爽やかで、身体にうれしい。炭酸水で割ってもおいしい。無農薬の果物をこんなふうに贅沢に使えるのは、自分の庭のものだからこそ。

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