くらし

多肉植物の魅力と、日々の生活の中で上手に付き合う方法。

今や広く知られるようになった多肉植物。千葉県浦安市で多肉植物のアレンジを手がける「TOKIIRO」の近藤義展さん、友美さん夫妻に話を聞きました。
  • 撮影・清水朝子 文・嶌 陽子
近藤友美さん作の、さまざまな種類の多肉植物を使ったリース。土台は土を水苔で覆ったもの。水やりをしつつ、一年中楽しめる。
グリーンネックレスという、垂れ下がるタイプの品種を使ったアレンジ。

ぷっくりとした葉っぱ。花が開いたような形。くすんだ淡いものから、ビビッドなものまである、多彩な色合い。まるで作り物のような美しさを持つ多肉植物に、思わずときめく人は多いのではないだろうか。

「僕たちも、初めて見た時に“かわいい”“不思議”と思ったのが、多肉植物に関わるようになったきっかけでした。やがて、それぞれの形や色にきちんと意味があるのがわかり、さらに夢中になったんです」
千葉県浦安市で多肉植物のアレンジを手がける「TOKIIRO」の近藤義展さん、友美さん夫妻は話す。

TOKIIRO 近藤義展さん(左)、近藤友美さん(右)。「生命力の強さと適応力に 勉強させられる日々です」(義展さん) 「多肉植物を通じて四季の移ろいを楽しみましょう」(友美さん)

そもそも多肉植物とは、葉、茎、根のいずれかに水を貯蔵している植物の総称。サボテンも多肉植物の一種だ。もともとは南アフリカ、中南米の砂漠や乾燥地帯で育ったもの。水が極端に少ない土地で生き抜けるように、体内に水分を溜め込むことをはじめ、過酷な環境に合わせて形や色を変えてきた。
「たとえば、葉が花びらのように広がっているのは、光を充分取り込むため。さらに、水が葉を伝って効率よく根に運ばれるためだと考えられます。花が背を高くして咲くのは、花粉を運ぶ虫が少ない砂漠で、なるべく子孫を残すため。いくつかの品種の葉についている白い粉のようなものは、強すぎる日光から身を守る、日傘の役目を果たしていると言われているんです」(義展さん)

2月初めに花芽を出し、3〜4月に花を咲かせるベンケイソウ科の「花うらら」。

日本では、江戸時代から園芸用として親しまれてきたという多肉植物。これから育ててみたいと思う人に向けて、近藤さん夫妻から、まず伝えておきたいことがある。それは、本来、多肉植物は光が当たる屋外で育てるもの、ということだ。
「“多肉植物はインドアグリーン”と誤解している人が多いようですが、そもそもは砂漠などで生息していた植物。非常に多くの光を必要とします。ですから、庭やベランダなどの屋外で育てるのが基本。どうしても室内に置かなければならない場合は、なるべく多く日が当たる場所を選んでください」(義展さん)

気温の下がる冬になると葉が紅葉する。季節ごとの変化を楽しめるのも魅力。

多肉植物にとって大切なのは、光と風、そして適度な水。この基本さえ理解していれば、育てるのは決して難しくない。光と風のよく当たる場所に置き、水をたっぷりあげておけば、2週間くらい放っておいても大丈夫だ。葉にふわふわした毛の生えているものや、垂れ下がるものなど、形や色も実に多様。お気に入りを見つけたら、人間も植物も、お互いが気持ちよく暮らせるように育ててほしいと義展さんは話す。
「多肉植物と暮らしていると、教わることがたくさんあります。我々人間は、何かがうまくいかないと、環境のせいにしがちですよね。でも、多肉植物は文句も言わず、置かれた環境に適応する。その姿に感動します。何でも人間の都合で考えるのではなく、植物や地球と共存していきたい。多肉植物を見ていると、そんなことを考えさせられるんです」

アトリエTOKIIRO

アトリエTOKIIRO●千葉県浦安市東野2-5-29 TEL:047-704-8483 普段は一般公開していないが、年に2回ほど、オープンアトリエを開催。多肉植物の苗やアレンジメントの展示販売などを行う。

TOKIIRO(トキイロ)●多肉植物アレンジ創作ユニット。2009年より多肉植物に特化したアレンジを提案。グリーンやガーデンデザイン、ワークショップ開催など多岐にわたり、海外でも活躍。

『クロワッサン』974号より

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