79歳の自立生活を支える、北村光世さんのオリーブオイルのある食卓。
撮影・小林キユウ 文・雪嶋恭子
風邪もほとんど引きません。台所に立つことがエクササイズ。
和食もイタリアンも中華料理もすべてオリーブオイルで。愛用の「アルベルトオイル」500mlを大体、2〜3週間で使い切る。
「オリーブオイルを毎日使うようになってから、確かに体調はいいですね。ゆっくり炒めた野菜はカサが減ってたくさん食べられるので、便秘もしません。風邪も滅多に引かないし、引いてもすぐ治る。家じゅうの掃除も全部ひとりでしているのよ。親しいお医者さんに聞いたら、オリーブオイルには、コレステロール対策や血糖値の上昇を防ぐ働きがあるなど、いろいろ教えてくれたので、ますますうれしくなりました。それにオリーブオイルって、お湯でほとんど流れて洗剤は少しで済む。体内でも同じような働きがあるのではないかと期待しながら使っています」
79歳になる今、段差の多い家にひとりで暮らし、食事を作り、ときには、生産者を訪ねてイタリア各地に取材旅行に出かける。
「知れば知るほど不思議なオイルです。もっともっとオリーブオイルの世界を広げていきたいですね」
ストウブ鍋でふっくら煮上がった「豆の水煮」をオリーブオイルで。
塩も砂糖も加えない豆の水煮。金時豆、とら豆などの新豆を煮る。新豆なら一晩水に浸けたあと、沸騰して15分で完成。食べるときにオリーブオイルと塩をパラパラッと。
フリットを応用した「オリーブオイル天ぷら」は、野菜がさらにおいしくなる。
天ぷらの揚げ油もオリーブオイル。高温で揚げて、素材の旨みをぎゅっと閉じ込める。衣には水ではなくビールを使うとサクッと揚がる。塩も天つゆもいらないほど。
いつものご飯のお供も、オリーブオイルを加えてさらにおいしく。
明太子をオリーブオイルで溶く。パスタにも合う。シラスはレモン汁とオリーブオイルをかけ、ケイパーを。納豆にオリーブオイルをかけると粘りがさらに出る。クレソンの茎を加えて。
北村光世(きたむら・みつよ)●食文化研究家。京都生まれ。アメリカ留学後、青山学院大学で29年間スペイン語と文化を教える。その後、ハーブや食文化を研究。独自のスローフード啓蒙活動を展開中。
『クロワッサン』973号より