「僕はプロットを立てるということをあまりせず、編集者さんと雑談しながら固まっていくタイプなんです。オチも〝だいたいこんな感じ〟ぐらいで書き始めていくので、当初の想定とは全然違ったものに。ラストに向けて自分でもわからないまま随所に蒔いた種が、最後にすべてうまくはまってよかったなぁと(笑)」
ネタ帳を作ることもない。あるのは「書きたい一場面」、あくまで頭の中に浮かぶ映像から生まれてくるとか。目指すのは世代性別を問わないエンターテインメント作品だが、一貫したテーマとして据えていることはある。
「根底に死生観があって、そこから派生するテーマが大半です。今回もどういうふうに生きるか、人間の存在価値を書いたつもりです」
超能力者たちは自分たちのふがいなさに迷い、時に立ち止まるが、まったく能力を持たない〝一般人〟北島というキャラクターには、特に著者の優しさが感じられる。