これからの人生をもっと楽しく! 希望をかなえる間取りの考え方。
撮影・岩本慶三 文・斎藤理子
まずはどういう暮らしをしたいか。話していくうちに形が見えてくる。
西家 今、思いつくままに不便なところとかをお話ししていますが、リフォームをお願いするときには、もう少し全体像的なことから入ったほうがいいんですか?
橋垣 まずは家にお邪魔して、漠然とした大きな希望をうかがいます。どういう暮らしをしたいかを会話の中から掴んでいくという感じです。その際、「これを取り外してこれを作ってこうしたい」みたいなとても具体的で限定した要望を言ってくださるのよりも、「洗濯物が楽に干せるといいのよね」くらいの漠然とした希望のほうが、こちらもイメージが描きやすいですね。
西家 とりあえず息子にちゃんと部屋の布団で寝てほしい的な?(笑)
橋垣 まさにそうです。そういう会話の中にヒントがたくさんあって、ライフスタイルに応じた提案ができるのだと思います。
西家 実はキッチンで水を使っているとテレビの音が聞こえないんです(笑)。
橋垣 でも、ここのキッチンからはダイニングもリビングも、1階のすべてが見渡せて素晴らしい作りだと思いますよ。昔の家はキッチンが隔離されていることが多くて、孤立しているキッチンをオープンにしたいという相談もたくさんありますから。
西家 奥さんがひとりで孤独に家事をやっているイメージですね。
部屋数が多く細切れだと暮らしにくいことも。
橋垣 西家さんのお宅は、リビングダイニングが大きくてゆったりしてますけど、普通はもっと部屋が区切られていて、細切れになっていることが多いんです。2LDKより4LDKみたいに、部屋数が多いほうが建て売りやマンションでは売れるそうです。
西家 小さな部屋がいっぱいあるイメージですね。確かに、前に住んでいた家は、小さく区切られていてデコボコした感じで使いにくかったです。
橋垣 部屋が細切れで暮らしにくいとか、部屋数が多いのに居る場所がないとか、住んでいるうちに不便なことがたくさん生じてきて、リフォームを考える人も多いです。
西家 ここを建てた時にはまだ子どもたちが小さかったし、私は家で仕事する時間が長いので、家で遊べるようにリビングはなるべく大きいほうがいいと思って広く作りました。でも、マンションだと壁を抜いたりするのはなかなか大変ですよね?
橋垣 配管や電気配線などを含めすべてを取り払い、建築構造を支える骨組みにあたる躯体だけにすればかなりのことができます。
西家 スケルトンというやつですね。
橋垣 そうです。でも、それにはかなりの金額が必要なので、一番初めに、このくらいの予算だったらこういうことができますよという提案をします。
西家 一軒家のほうがリフォームしやすいですか?
橋垣 一戸建ては大きな変更が可能です。たとえば、下のリフォーム例1の家は、ほぼ使われていなかった和室を解体してなくし、床全体に杉の無垢板を使うことで広々とした一体感を生み出しました。家の奥に隔離されていた台所は洋室に移動させ、オープンキッチンにすることで、家族が集まりやすくなったと思います。
西家 とても素敵です。
橋垣 敷地いっぱいに立っていたのですが、和室をなくすことで庭が広くなり、さらに木を植えました。眺めもよくなりましたね。
【リフォーム例 1】ゆとりある生活空間を生む、 増築ではなく減築という発想。
築35年ほど経った一戸建て住宅の改修例。敷地いっぱいに立っていた家の1階和室を解体してなくし、そこを庭にしてゆとりを持たせた。また、家の奥にあったキッチンを洋室に移動させて、開放的なダイニングキッチンに。
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