これからの人生をもっと楽しく! 希望をかなえる間取りの考え方。
撮影・岩本慶三 文・斎藤理子
西家ヒバリさん「リフォームでできること、その可能性の大きさには驚きました」
橋垣史子さん「施主さんとの会話の中に、理想の家に近づくヒントがたくさんあります」
子どもの独立などライフスタイルが変わるタイミングで、家をリフォームしたいと考える人は多い。でも、漠然としている理想のイメージをうまく業者に伝え、希望の形にしていってもらうのはなかなか難しい。どうすれば、自分の思いを的確に伝えられて、後悔しないリフォームができるのか。橋垣史子さんと西家ヒバリさんの、家をめぐる話にそのヒントがーー。
橋垣史子さん(以下、橋垣) ここを建ててからどのくらい経ちますか?
西家ヒバリさん(以下、西家) 今年で11年目ですね。小学生だった子どもたちが18歳の大学生と16歳の高校生になりましたから。
橋垣 すごく広いし、動線も大変使いやすいように思えますが、住んでいらして何かご不満な点はありますか?
西家 そんなにはないんですけど、今、最大の悩みは、長男が2階の自分の部屋にたどりつけないことですかね(笑)。
橋垣 と言いますと?
西家 疲れ切って帰ってくるので、2階までの階段が上れない(笑)。リビングの炬燵とか、奥の和室とかでそのまま寝ちゃうんです。ちゃんとした布団で寝ていないから、疲れも取れないんじゃないかと思って心配しているんですけど。
橋垣 なるほど。2階には洋室があり中央で仕切れるようになっていますけど、ここが子ども部屋ですね。
西家 そうなんです。子どもたちが大きくなったら仕切ってそれぞれの個室にしようと思い、そういう設計にしたんですけど、そんなわけでまだそのままです。娘が美大生になったので、ここは今、画材とかで溢れています。
橋垣 和室を息子さんの部屋にリフォームしても、その後、長期間使うとは限りませんよね。でしたら、とりあえずこの先の数年間だけご両親には我慢していただいて、しばらく和室にベッドを置いてそこできちんと寝てもらうほうがいいかもしれません。
西家 教科書とか洋服とかも1階の和室に持ち込んでしまっているので、そうしたほうがいいかもしれませんね。
不便な外開きのドアは、引き戸にすることで解決。
橋垣 他のエリアで、使いにくい部分とかありますか?
西家 一番使いにくいのは、1階の廊下です。洗面所のドアが外に開くので、誰かが通っている時に知らないで開けてぶつかってしまうことが頻繁にあって。それと、ドアを開けておくと、照明のスイッチがドアに隠れて押せないのも不便です。
橋垣 それは、ドアを引き戸にすることで解決します。最近はドアの家が多いですが、リフォームの際にそれを引き戸に替えたいという相談や要望もよくあるんです。引き戸って邪魔にならないので、暮らしやすさもだいぶ変わりますよ。
西家 なるほど。昔の日本の家の知恵が現代の家に生かされるんですね。朝は家族が洗面所に殺到して、ドア絡みの事故が一番多いし洗濯室のドアも開けにくいので、廊下をもっと広く作ればよかったと思っていたんです。
橋垣 とはいえ、洗面所にはシンクが2つあって、脱衣場も広いし、水回りは使いやすそうですね。
西家 でもなぜか、みんな右側のシンクしか使わない(笑)。使わないってわかっていたら、シンクをひとつにして収納が増やせたんですけど。
橋垣 リフォームの依頼で、ダブルシンクにしたいという相談もよく受けますが、スペース的に無理な場合が多いんです。こんなにゆとりあるスペースはめったにないので、シンクをひとつにしてしまうのはもったいないですね。収納の工夫で解決できることもたくさんあるので、このままにしておいたほうがいいと思います。
西家 なるほど。
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