災害から命を守る視点で、リフォームを考えることも大切。
撮影・谷 尚樹 文・一澤ひらり イラストレーション・タニグチコウイチ
窓ガラスは飛散しないタイプに切り替える。
地震時はもちろん、大きな台風でも何が飛んでくるかわからない。窓ガラスが割れて飛び散ると危険な障害物に一変。リフォームで新しくするなら、おすすめは防犯合わせガラスだ。2枚のガラスの間に特殊フィルムを挟んでいるので、割れても飛び散らない。
「防犯だけでなく防災にも有効です。もう少し安価に抑えたい場合は、防犯フィルムを貼るといいですね。ガラス飛散防止フィルムもありますが、防犯効果はないので食器棚とか、室内でガラスが割れそうな場所に貼るといいんです」
外側をリフォームできないマンションの場合は、インナーサッシを入れて二重窓にする方法がある。
「断熱や防音・防犯効果があり、結露も防げるので需要があります。この窓にガラス飛散防止フィルムを貼れば万全ですね」
家の中のものを凶器にしないよう手当てを。
首都直下でマグニチュード7級の巨大地震が起きる確率はこの30年以内で70%と言われている。ひとたび激震が起これば家具や電化製品の転倒によって大怪我をしたり、命にも危険が及びかねない。
「地震対策の基本は家具や電化製品が倒れないようにすること。リフォームの際、収納家具は作り付けの壁面収納にすれば安全ですし、部屋もスッキリします。さらに天袋のような天井近くにモノを収納する戸棚は作らないほうが落下事故を防げるし、踏み台から落ちて怪我をすることもありません」
家具を固定する場合は、壁に直接固定すれば強度も高く目立たないので、突っ張り棒のように部屋の美観を損なわずに済む。
「リフォーム時が肝心で、家具の配置を決めたら背面の壁に下地を入れておけば固定できます」
地震が起きたとき、家の中で最も危険な場所はキッチン。家電製品がまさに凶器に変わる。
「電子レンジなどの小型家電は宙を飛ぶし、100㎏近くある冷蔵庫が転倒すると惨事になりかねません。家具同様に家電の固定は必須です。ぜひ取り付けてほしいのが、地震の揺れを感知して台所の吊り戸棚や食器棚の扉が開くのを防ぐ耐震ラッチです。食器などが飛び出すのを防いでくれます」
耐震ラッチは地震の強い揺れを感知すると扉を自動ロックし、揺れがおさまると解除できる掛け金。
「ただ、取り付けるにはちょっと手間がかかります。キッチンをリフォームするときに、耐震ラッチの取り付けや冷蔵庫の固定などの地震対策も業者さんに依頼するといいと思います」
いっぽう、トイレで地震に遭ったとき怖いのは、タンクのフタが飛んでくる恐れがあること。トイレをリフォームするならタンクレスにしたほうが安全、と澁川さん。
「また、玄関ドアは震度6強で開かなくなる可能性があります。ドア枠の交換など、玄関ドアの耐震化にはいくつか方法がありますので対策を講じておきたいですね」
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