毎日食べても飽きがこない、豆腐おやつと果物おやつ。
撮影・岩本慶三 料理、スタイリング・中川たま 文・渡辺尚子
【季節の果物】たっぷり作っておいて毎日アレンジする、旬の甘味料。
中川さんのもうひとつのおすすめは、旬の果物を使ったコンポート。液につかっていれば、10日から2週間ぐらいもつ。このコンポート液がまた、季節限定の甘味料になるのだ。パンやクレープに染み込ませたり、冷たいデザートを作ったり。日々、アレンジをきかせながら、その季節ならではの喜びを堪能したい。
身体をあたためるスパイスが、爽やかな柑橘にじわりときいて。
蜜柑のスパイスコンポート
甘くて酸っぱい冬蜜柑が、大人のデザートに。
生姜とシナモンを入れた、ほろ苦いデザート。コンポート液は紅茶の風味付けにしたり、炭酸で割っても。
材料(作りやすい分量)
蜜柑 5個
生姜のスライス 6枚
シナモンスティック 1本
白ワイン1カップ
水 1カップ
砂糖 80g
はちみつ 40g
レモン汁 1個分
作り方
1. 蜜柑は皮をむいて白いすじ部分を丁寧に取り除き、スライスする。
2. 鍋にすべての材料を入れて火にかけ、沸騰したら弱火にして15分煮る。
<POINT>
蜜柑の白い繊維状の部分は、なるべく丁寧に取り除いておくとよい。このひと手間で、口当たりがだんぜんスムーズになる。
蜜柑コンポートのクレープシュゼット
白ワインの香りが上品、爽やかなデセール。
紅茶にもシードルにも合う、オレンジ風味のクレープ。生地をしっかり寝かせておくと、とろりとして焼きやすくなる。
材料(クレープ4枚分)
上記のコンポート適量
蜜柑のコンポート液 1・1/2カップ
薄力粉 50g
きび砂糖 20g
卵 1個
牛乳 120ml
溶かしバター 10g
植物油 少々
作り方
1. ふるった薄力粉ときび砂糖をボウルに入れ、溶きほぐした卵と、牛乳40mlを加えて泡立て器でよく混ぜる。
2. 残りの牛乳と溶かしバターを加えさらに混ぜたら、ラップをして、冷蔵庫で1時間以上寝かせる。
3. 温めたフライパンに植物油を薄くひき、2をおたま1杯分流し入れて素早くのばす。焼き色がついたら裏返し20秒ほど焼く。残りの生地も同様に焼く。
4. 鍋に蜜柑のコンポートとコンポート液、4つ折りした3のクレープを入れ、ひと煮立ちさせる。
<POINT>
コンポート液とクレープを鍋の中でひと煮立ちさせると、果実や白ワインの風味がクレープによくなじみ、食感もマイルドに。
蜜柑コンポート液のグラニテ
舌の上ではかなく溶ける、冬の淡雪。
コンポート液とバット、フォークがあれば。シャーベットより食感があり、かき氷よりもふわふわに。
材料(2〜3人分)
上記のコンポート液 1カップ
作り方
1. コンポート液を保存容器に入れ、冷凍庫で凍らせる。
2. 途中で冷凍庫から取り出し、フォークで空気を含ませるようにかき混ぜる。
3. 食べる直前にもフォークでかき混ぜ、グラスに盛り付ける。
<POINT>
凍らせたコンポート液の表面に、フォークの先をあててシャリシャリと削っていく。糖分を含んでいるのでやわらかく、削りやすい。
中川たま●料理家。季節の食材を慈しむ料理を提案している『暦の手仕事』(日本文芸社)等に続き、来年2月に果物のレシピ集を刊行予定。http://tama2006.exblog.jp
『クロワッサン』960号より
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