カリフォルニア・セントラルコーストの旅③
取材・写真・文/斎藤理子
谷間にひっそりと佇む
癒しの街オーハイ。
サンタバーバラから車で1時間半ほど東に行ったところに、オーハイ(Ojai)という小さな街があります。ロス・パドレス国立森林公園に隣接する、豊かな自然に囲まれた素朴な雰囲気の街ですが、実はカリフォルニア・セントラルコースト随一のパワースポットとして全米から人が訪れる、人気の場所です。
ネイティブアメリカンの言葉で〈月の谷〉を意味するオーハイには、多くのアーティストや作家が移り住み、独特の雰囲気を醸し出しています。ハイストリートにはオーガニックレストランやヴィーガン向けのカフェ、ギャラリーなどが並びます。
オーハイ周辺は小規模な農場や牧場が多く、そうした生産者からのものを売る地元の八百屋や肉屋などもあり、町中に大手チェーンのスーパーの姿はありません。大量生産大量消費のアメリカとは違う姿がここにはあります。
オーハイの街の中でもことさらユニークな存在なのが、世界最大級の屋外の本屋「バーツ・ブックス(Bart’s Books)。店には屋根ないところもあり、樹齢400年以上といわれる樫の木を囲んで、書架が並んでいます。営業時間は9時半から日没まで。降雨量が極端に少ないオーハイでしか成り立たない(?)本屋さんです。
アート本や古本の充実ぶりは、世界中からマニアが集まるほど。パラソルの下でお茶を飲みながら読書できる、屋外ブックカフェでもあります。
爽やかな空気の中で、
心休まるメディテーションを。
山に囲まれたオーハイには、歩きやすく整備されたトレイルがたくさんあり、初心者から上級者までレベルに応じたハイキングが楽しめます。澄んだ空気を胸一杯に吸い込みながら、トレイルのひとつを歩いて行くとたどりつくのが、山の上にある瞑想リトリート施設の「メディテーションマウント(Meditation Mount)」。
ピラミッド型の建物の中では、日の出や日没、満月や新月に合わせた瞑想が体験できます。静寂が支配する山頂は神秘的な雰囲気。グループ・メディテーションに参加しなくても、眼下に広がる谷間を見下ろしながらぼーっとした時間をすごしていると、なぜか心が癒されリラックスしていく不思議な空間です。
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